大陸横断鉄道や初取材のアセラ・エクスプレスでフロンティア・スピリットをたどる旅。

鉄道大国アメリカ

大統領選が注目される今、「自由、平等、フロンティア・スピリット」の源泉を訪ねてアメリカ合衆国を縦横断します。東海岸に建国の軌跡を訪ねてフロリダへ南下。そして西部開拓史に思いを馳せつつ大陸横断鉄道で西海岸へ。コロンブス・デーなど秋の祭も楽しみながら、アメリカの文化と歴史を俯瞰する旅です。

[PART1]建国の歴史を訪ねて ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ボルチモア〜ワシントンDC

建国の歴史を訪ねて ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ボルチモア〜ワシントンDC

ニューヨーク 移民たちが第一歩を記したアメリカ最初の首都
ミッドタウン

多くの店や劇場やレストラン、ホテルが軒を連ねるニューヨーク観光の中心地。タイムズ・スクエア、エンパイア・ステート・ビル、劇場街ブロードウェイなど、象徴的な名所が盛りだくさん。グランド・セントラル駅は歴史的建造物というだけでなく、多くの映画のロケ地としてもおなじみ。高級店が並ぶ5番街では10月の第2月曜日、コロンブスのアメリカ大陸発見を記念するパレードが行われていました。

エンパイア・ステート・ビル
エンパイア・ステート・ビル
タイムズ・スクエア
タイムズ・スクエア
グランド・セントラル駅
グランド・セントラル駅
5番街、コロンブス・デーのパレード
5番街、コロンブス・デーのパレード
ハイライン

1980年に廃線となったロワー・ウエストサイドの高架線路が、2009年に空中庭園として甦りました。昔は食肉加工業が栄えたエリアで食品の運搬に使われていましたが、廃線後は放置され荒れ放題。その繁茂した野草や古い線路を活かし、ナチュラルでおしゃれな緑道に仕上げています。サンデッキでくつろげば、ハドソン川に沈む夕陽が一望でき、これまでになかったマンハッタンの風景が楽しめます。

ハイライン
ハイライン
10番街を臨む展望デッキ
10番街を臨む展望デッキ
リトルイタリーとチャイナタウン

19世紀半ば以降、イタリア南部からの移民が住み着いたエリア。マルベリーストリートを中心にイタリアン・レストランやデリが並び、独特の風情を醸し出しています。今はお隣のチャイナタウンが拡張し、エリアが狭くなったのだとか。全米最大といわれるチャイナタウンは、大手ファストフード店の看板まで漢字表記で、ここがアメリカということを忘れるほど。まさに人種のるつぼを実感できるはずです。

リトルイタリー
リトルイタリー
チャイナタウン
チャイナタウン
ロウアー・マンハッタン

ウォールストリートや摩天楼が集中するマンハッタンの南端エリア。フェリーでリバティ島へ向かうと、1886年にフランスからやってきた自由の女神が。左手の銘板には独立記念日が記され、左足で鎖と足かせを踏みちぎっています。次に1892〜1954年まで移民管理局のあったエリス島へ。当時、世界中から新天地を求めて上陸した1200万人もの人々は、力強い女神を見て希望を抱いたに違いありません。

自由の女神
自由の女神
リバティ島・エリス島巡航フェリー
リバティ島・エリス島巡航フェリー
エリス島の移民博物館
エリス島の移民博物館
大正時代のパスポート
大正時代のパスポート
当時の移民たち
当時の移民たち
アセラ・エクスプレス

アムトラック(全米鉄道旅客公社)が誇るアメリカ唯一の高速鉄道で、2000年運行開始。ボストン、ニューヨーク、ワシントンDCという東海岸の三大都市を結ぶため、ビジネスマンの利用が多いそうです。パソコンがゆったり置けるテーブル席で精力的に仕事をこなしたり、携帯で堂々と通話する人も多数。読書や睡眠を取りたい人は、おしゃべりや音を出すことを禁じた車両「クワイエット・カー」へどうぞ。 ペンステーションから乗車。

アセラ・エクスプレス
アセラ・エクスプレス
ニューヨークを走るアセラ・エクスプレス
ニューヨークを走るアセラ・エクスプレス
フィラデルフィア アメリカ独立を宣言した「自由の国」建国の地
インディペンデンス国立歴史公園

建国の史跡がひとまとまりになっている国立公園。独立記念館はトーマス・ジェファーソン、ジョン・アダムズ、ベンジャミン・フランクリンら錚々たる面々が集まり、1776年7月4日に独立宣言を採択した場所。このとき高らかに打ち鳴らされた鐘は自由の象徴となっています。1790〜1800年まで国会議事堂だった建物は、ジョージ・ワシントン、ジョン・アダムズ両大統領の就任式も行われました。

独立宣言が採択された部屋
独立宣言が採択された部屋
自由の鐘
自由の鐘
アメリカ最初の国会議事堂
アメリカ最初の国会議事堂
ジョージ・ワシントン像
ジョージ・ワシントン像
シティ・タバーン

建国以前からある、イギリス植民地時代の料理が楽しめるレストラン。第1〜2回大陸議会代表会議と憲法会議の際、建国者たちもここで食事をしました。そんな200年以上におよぶ歴史を、伝統的衣装を着たスタッフが料理をサーブしながら語ってくれます。一番人気は、ジョージ・ワシントンの妻マーサのレシピを活かしたターキー・パイ。ワシントンとジェファーソンのレシピで造ったビールもあります。

シティタバーン
シティタバーン
スタッフの衣装は植民地時代を再現
スタッフの衣装は植民地時代を再現
ターキー・ポット・パイや大統領が愛したビールなど
ターキー・ポット・パイや大統領が愛したビールなど
市庁舎タワー

庁舎の頂上に立っているのは、街の創始者ウィリアム・ペンの像。高さ11m、重さ27トンもあります。市庁舎は166mあり、1987年までフィラデルフィアで一番高い建物でした。それは合衆国憲法にも影響を与えたペンの銅像を見下ろすことを禁じる紳士協定があったからだそうです。9階の展望台からは街が一望。市庁舎を核に格子状に街区を区切る都市計画は、他の多くの街づくりの原型となりました。

市庁舎タワー
市庁舎タワー
エルフレス小径

18世紀初頭に造られた、アメリカ最古の住宅街。ジョージアン様式やフェデラル様式の長屋風、商店や工房も営める低層住宅であることが特徴で、当時は船大工、鍛冶屋、ガラス屋、家具屋など、職人や商人が多く住んでいました。30軒ほどの家屋には現在も居住者がいて普通に生活をしており、建物や石畳の路地自体は当時のまま。1軒は博物館になっていて、1755年頃の暮らしを再現しています。

エルフレス小径
エルフレス小径
植民地時代の暮らしを再現
植民地時代の暮らしを再現
ボルチモア アメリカ大陸における鉄道発祥の地
ボルチモア&オハイオ鉄道博物館

ボルチモア&オハイオはアメリカ初の公共鉄道。1828年の起工式には、独立宣言の署名者で唯一生存していた92歳のチャールズ・キャロル・オブ・カロルトンが礎石を置きました。当時の扇形庫を中心に約200台の車両が保存され、年間20万人が訪れます。世界最大級の蒸気機関車アレゲニー号は、2台しか現存しない貴重なもの。4〜12月の間は、1マイルの“アメリカ初の線路”に体験乗車できます。

ボルチモア&オハイオ鉄道博物館
ボルチモア&オハイオ鉄道博物館
1828年7月4日の起工式の絵
1828年7月4日の起工式の絵
アレゲニー号
アレゲニー号
最初の1マイル列車
最初の1マイル列車
1830年代、初期のボルチモア&オハイオ鉄道車両のレプリカ
1830年代、初期のボルチモア&オハイオ鉄道車両のレプリカ
メンノン号
メンノン号
親指トム号
親指トム号
レキシントン・マーケット

建国直後の1782年から営業している、アメリカ7大公営マーケットの1つ。約140の露天商がひしめき、市民の台所となっています。ボルチモア名物のカニを食べるなら、ここのクラブ・ケーキが有名。立ち食いのファストフードなのに下手なレストランより評判です。茹でガニは「オールドベイ」という伝統のスパイスをまぶしたものが定番。木槌が添えられているので、豪快に叩き割って食べましょう。

レキシントン・マーケット
レキシントン・マーケット
新鮮な魚が並ぶ
新鮮な魚が並ぶ
名物のクラブ・ケーキ
名物のクラブ・ケーキ
MARC

ボルチモアのペンシルバニア駅、通称ペン・ステーションからワシントンDCへ向かうのは、近郊列車MARC(Maryland Rail Commuter Service)。地元民の移動手段として1時間おきに走っています。通勤列車とはいえ、2-3の座席配置で2階建車両と、日本人にはゆったりサイズ。7駅に停車し約1時間でワシントンDCユニオン駅に到着します。アムトラックより格安ですが、平日のみ運行なのでご注意を。

近郊列車MARC
近郊列車MARC
ペンシルバニア駅
ペンシルバニア駅
駅の天井にステンドグラスが
駅の天井にステンドグラスが
ワシントンDC アメリカ合衆国の中枢を担う特別行政区
ユニオン駅

ボルチモア&オハイオ鉄道とペンシルバニア鉄道の駅舎を統合する形で、1908年に完成。ワシントンDC・ユニオン駅は、まるで古代神殿のように壮麗です。古典様式をふんだんに取り入れた駅舎は、ローマのコンスタンティヌス凱旋門やディオクレティアヌス浴場などの影響を受けているそう。中にはショッピングエリアやフードコートもあり、観光地としても人気があります。

ユニオン駅
ユニオン駅
ショップが並ぶ駅構内
ショップが並ぶ駅構内
ナショナル・モール

ワシントンDCの観光はここから。スミソニアン博物館群や各種記念館、連邦政府関連施設などが集中する国立公園です。東の国会議事堂から西のリンカーン記念館まで、約4kmにわたる長方形のエリアに、ワシントン記念塔のオベリスク、ホワイトハウス、議会図書館などが点在。写真や動画で見る以上に広大なのですが、大統領就任式の際はここがすべて、何百万の人で埋め尽くされるというから驚きます。

国会議事堂
国会議事堂
ワシントン記念塔
ワシントン記念塔
リンカーン記念館
リンカーン記念館
リンカーン像
リンカーン像
ホワイトハウス
ホワイトハウス
マウントバーノン

ジョージ・ワシントンのプランテーション、つまり農園や邸宅があった場所。4つの庭園や森、穀物貯蔵庫、奴隷の宿舎、薫製加工場、厩、温室、ワシントン夫妻の墓所などを巡り、合衆国初代大統領の足跡をたどることができます。ジョージアン様式の屋敷は父が建てましたが、ワシントンの手腕で6寝室から21寝室にまで拡張したのだとか。うち14室が見学可能で、いつも長蛇の列ができています。

ワシントンの家
ワシントンの家
ワシントン夫妻の墓
ワシントン夫妻の墓
ワシントン親子像
ワシントン親子像
ジョージタウン

ジョージタウン大学を擁する、ワシントンDCの北西にある町。ポトマック川を見下ろす高台にあり、1871年までは独立した都市だったためか、DCとは異なるヨーロッパ的雰囲気が残されています。オールド・ストーン・ハウスは1765年に建てられた典型的な中産階級の家で、植民地時代の暮らしが伺える史跡。ジョン・F・ケネディが上院議員時代の1958〜60年に住んでいた家もあります。

オールド・ストーン・ハウス
オールド・ストーン・ハウス
JFケネディの家
JFケネディの家
マーティンズ・タバーン

ジョージタウンで1933年に創業した、歴代大統領御用達レストラン。マーティン一家が代々営業していて、現在は4代目です。2番ブースはニクソンの指定席で、ミートローフやビーフ・ポット・ロースト(牛肉の煮込み)がお気に入りでした。ジョン・F・ケネディは下院〜上院議員時代の日曜日は1番ブースに陣取り、3番ブースでジャクリーンにプロポーズし、婚約パーティもこの店で行ったそうです。

マーティンズ・タバーン
マーティンズ・タバーン
店内
店内
ニクソン大統領お気に入りの料理
ニクソン大統領お気に入りの料理
ニクソン・ブース
ニクソン・ブース
ニューヨーク フィラデルフィア ボルチモア ワシントンDC