情熱の国の魅力を再発見する、イベリア半島鉄道の旅。
スペイン大紀行
サッカーの最高峰リーガ・エスパニョーラでも知られる情熱の国スペイン!初取材の高速列車ユーロメッドを始め、AVEやアルコ、アルビア、アルタリアを乗り継ぎ、イベリア半島を6回に渡って縦横断。芸術の街バルセロナからバレンシアへ。そしてスペイン最盛期の栄華を体感できる古都を巡り、首都マドリードから、ラ・マンチャ、アンダルシアへと駆け抜けます。世界遺産、音楽、踊り、食…スペインの魅力を満喫する鉄道大紀行です。
情熱の国の魅力を再発見する、イベリア半島鉄道の旅。 スペイン大紀行サッカーの最高峰リーガ・エスパニョーラでも知られる情熱の国スペイン!初取材の高速列車ユーロメッドを始め、AVEやアルコ、アルビア、アルタリアを乗り継ぎ、イベリア半島を6回に渡って縦横断。芸術の街バルセロナからバレンシアへ。そしてスペイン最盛期の栄華を体感できる古都を巡り、首都マドリードから、ラ・マンチャ、アンダルシアへと駆け抜けます。世界遺産、音楽、踊り、食…スペインの魅力を満喫する鉄道大紀行です。 [PART3]ラ・マンチャの大地を下ってマドリード スペイン黄金時代の栄華が香る、偉大なる首都マドリード王宮アルマス広場に面するマドリード王宮はカルロス3世からアルフォンソ13世の時代まで、スペインの国王が住まいとして使用されました。パリのルーブル美術館の図面に発想を得たという四角く、荘厳なファサードが特徴的です。時代時代の国王の要求で作られた特徴のある部屋の数々や、天井に描かれた見事なフレスコ画、サバティーニが設計した庭園など、贅を尽くしたしつらえに、時の経つのも忘れてしまうほどです。 天井を飾るフレスコ画 玉座の間 庭園から王宮を望む スペイン広場王宮の北、マドリードの目抜き通りであるグラン・ビアの終点に位置するスペイン広場は、7世紀に活躍したスペインの文豪、セルバンテス(1547〜1616年)の没後300年を記念して造られた人気の観光スポットです。周囲にはスペイン・ビルやマドリード・タワーなど20世紀中頃に建てられたビルが聳え、広場の中央には、セルバンテスのモニュメント、その前には小説の主人公ドン・キホーテと従者サンチョ・パンサの像があります。 スペイン広場 ドン・キホーテとサンチョ・パンサの像 ミゲル・デ・セルバンテス マヨール広場〜ポサーダ・デ・ラ・ビジャマドリードの中心街、マヨール広場から少し南に歩くと、重厚な木の扉の老舗レストラン、ポサーダ・デ・ラ・ビジャがあります。1642年から続く旅籠を改装し、1980年に創業したこの店では、素朴な味わいの「カスティーリャ料理」が楽しめます。名物は石釜で皿ごと焼く仔羊やコシード(豆の煮込み)、ニンニクのたっぷり入ったカスティーリャのスープなど。週末には地元の人や観光客で常に満席になる人気店です。 マヨール広場 レストラン ポサーダ・デ・ラ・ビジャ カスティーリャのスープ マドリード鉄道博物館〜イチゴ列車19世紀に建設された旧デリシアス鉄道駅の建物を利用して開館したこの博物館は、マドリード市の産業遺産の一つ。構内には歴史を感じさせる列車が所狭しと並んでおり、鉄道ファン必見のスポットとなっています。5月から10月の間(8月は運休)、この鉄道博物館からアランフェスへと向かう観光用列車が「イチゴ列車」。1851年に開通した同ルートを走っていた列車です。往時の雰囲気そのままに運行するイチゴ列車の車内では、19世紀当時の衣装に身を包んだ乗務員からイチゴのプレゼントがあります。 鉄道博物館(旧デリシアス鉄道駅) スペインが誇るタルゴ イチゴ列車でアランフェスへ アランフェス スペイン王室の離宮を守る、メセタのオアシス。アランフェス王宮イチゴ狩りの季節を中心に、スペイン国王が憩のひと時を楽しんだこの王宮は、16世紀にフェリペ2世が建設に着工した後、歴代の国王によって改装が繰り返されました。館内には意匠を凝らした27の部屋があります。ロココ調の家具や調度品の溢れる玉座の間、白を基調とした音楽の間には、ナポレン3世の皇后が贈った、金箔をあしらった豪華なピアノが置かれています。壁面にスラム様式特有の精緻な装飾が施されているアラブの間は、イスラム建築の最高傑作、アルハンブラ宮殿の「二姉妹の間」を手本とした内装になっており、一番の見どころとなっています。 アランフェス王宮 ナポレオン3世の妃から贈られたピアノ アラブの間 タホ川クルーズ船王宮近くの船着場から出ているタホ川を下るクルーズ船は、約40分、名曲「アランフェス協奏曲」の舞台を巡ります。 かつては王族たちも、両岸に続く庭園を眺めながら舟遊びを楽しみました。20世紀の半ば、新婚旅行でタホ川の岸辺を散策した盲目の作曲家ホアキン・ロドリーゴは、川の水音に曲想を得、後年、失った子供への思いを込めて、「アランフェス協奏曲第2楽章」を書き上げました。その美しい旋律は、当時の内戦で疲弊したスペイン人の、心を癒したと言われています。 クルーズ船 イベリア半島最長の川 緑豊かな庭園都市を巡る アランフェス駅〜ラ・マンチャへ1922年に着工した現在のアランフェス駅。風格溢れる駅舎には、かつての国王も降り立ちました。列車はアランフェス駅を出発するとほどなくラ・マンチャに入り、車窓からは乾燥した、荒々しい大地が見渡せます。やがて見えてくるのがラ・マンチャのシンボルともいうべき風車。ドン・キホーテで有名なカンポ・デ・クリプターナへは、アルカサル・デ・サン・フアンで乗り換えです。 威風堂々のアランフェス駅 荒涼とした平原を行く カンポ・デ・クリプターナ ドン・キホーテと風車が迎える、物語の街。ドン・キホーテ〜風車ラ・マンチャ地方の中央に位置するカンポ・デ・クリプターナは、不朽の名作ドン・キホーテと、風車で有名な観光地。自分を騎士だと思いこんだ老人、ドン・キホーテは、ラ・マンチャを舞台に抱腹絶倒の旅を繰り広げ、この町では風車を巨人と見間違え、槍を手に突進、あえなく大地に吹き飛ばされます。ドン・キホーテの愛馬ロシナンテの名前が付けられた坂を上ると、丘の上には1560年から70年にかけて建てられた風車が残っています。 ドン・キホーテにちなんだ像 丘の上の風車 風車にはそれぞれに名前がついている マヨール広場〜オリーブとぶどう町の中心であるマヨール広場には、ドン・キホーテの生みの親、ミゲル・デ・セルバンテスの像があり、セルバンテス教会が建てられています。また、16世紀の穀物倉庫が残されており、大麦や小麦の一大生産地であったことをうかがわせます。ラ・マンチャの名産はオリーブやブドウ。ともにスペインが世界に誇る農産物です。夏と冬の寒暖差が激しいラ・マンチャは、ブドウの理想的な栽培地といわれ、ここで収穫された糖度の高いブドウが、名産のラ・マンチャ・ワインとなります。 セルバンテス像 セルバンテス教会 穀物倉庫 オリーブ畑 ブドウの収穫 ラ・マンチャワイン ラ・マンチャの食文化イスラムの時代から続く放牧も、ラ・マンチャの伝統。羊毛の輸出とともに、ラ・マンチャの特産品、羊の乳100%のマンチェゴ・チーズが作られています。牛乳のチーズと比べて、コクがあり、塩気が強いのでジャムや蜂蜜をつけて味わいます。ラ・マンチャの伝統料理の中に、狩猟の季節のジビエ料理があります。野ウサギや野ウズラを使った料理は、ラ・マンチャならでは。名産のワインと一緒に楽しみます。 放牧風景 マンチェゴ・チーズ ジビエ料理
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