映画

存在のない子供たち

第７１回カンヌ国際映画祭審査員賞をはじめ、数多くの映画賞を受賞。中東の貧民街で必死に生きる少年の姿を通して、さまざまな問いを観客に突き付ける痛切な社会派ドラマ。

両親が出生届を出さなかったために戸籍がなく、自分の本当の誕生日も知らない12歳の少年ゼイン。大切な妹が11歳で強制結婚させられたのをきっかけに家を飛び出し、やがて不法移民の母子と知り合ったゼインは、さらなる厳しい社会の現実に直面。ついには自分の両親に向けて、「なぜ僕を産んだ？」と悲痛な怒りをぶつけることに…。中東レバノンの女性監督N・ラバキーが、同国の首都ベイルートの貧民街で暮らす人々を出演者に起用し、彼らの過酷な日常を迫真のタッチで赤裸々に描き、リアルな秀作に仕上がった。