


女子マリア・シャラポワと男子ノバク・ジョコビッチ。オーストラリアで2008年最初の四大大会栄光をつかんだのは、20歳のふたりだった。しかも2選手は現テニス界で絶対的実力を誇る男女世界1位を直接対決で下し、誰にも異論の余地のない見事な優勝を手に入れた。
決勝まで1セットも落とすことなく勝ち上がってきたシャラポワは、決勝イバノビッチとの20歳対決をもストレートで制し、パーフェクトに大会を締めくくった。もちろん2回戦ダベンポート、4回戦デメンティエワ、準々決勝エナン、準決勝ヤンコビッチと、ファイナルまでの道程は決して平坦ではない。
それでも肩と手首の故障がしっかり癒えたフィジカルと、第2の母と慕ってきた人の死で強くなったテニスへの想いとで、シャラポワは人生3度目の四大大会勝利へと突き進んだ。しかも2004年全英、2006年全米に続く3種類目の四大大会タイトル。次の四大大会前に21歳の誕生日を迎えるが、「私はまだまだキャリアの絶頂を迎えていない」とさらなる成長を確信するシャラポワには全仏で生涯グランドスラムの可能性もあり!
試合出場数が多すぎて“過労”気味のヤンコビッチは準決勝で力尽き、夢のセルビア対決はまたしてもお預けに。 一方、準決勝で大逆転劇を演じて人生2度目の四大大会決勝に駒を進めたイバノビッチは、残念ながらセルビア“男女優勝”を叶えることは出来なかったが……、大会後嬉しい世界2位へのランクアップが決まっている。
そしてユーゴ解体でセルビアとなった祖国に、四大大会初優勝の喜びを与えたのがジョコビッチ。太陽王フェデラーを準決勝で破った20歳を、すでに彼の国民は「ツァー(皇帝)」と呼ぶ。
2005年全英から10大会連続でグランドスラム決勝に進出してきた世界1位を倒した事実は、少々単調だった四大大会の風景を変えただけでなく、もしかしたらセルビアメディアの考えるように「テニス史の重要なターニングポイント」だったのかもしれない。
そして“ノール”の望むように、メルボルンパークで必死に兄に声援を送った弟のマルコ&ジョルジェと共にジョコビッチ軍団が男子テニス界を支配する日がやってくるのかもしれない。
決勝では第1セットを奪いながら無念にも敗れ去ったが、間違いなくツォンガは今全豪の台風の目となった。「スターの誕生」(クーリエ)、「今後5回はグランドスラムで優勝するだろう」(ビランデル)と過去の大選手たちをすっかり虜にし、準決勝では「あのナダルを肉体的に圧倒するとは!」とあらゆる関係者をうならせたほど。モハメド・アリを思わせる風貌と、トップアスリートの肉体、そして冷静な魂を持つ22歳のこれからに大いに注目だ。
また3回戦で朝4時半まで全力を尽くしてバグダティスとヒューイットの雄姿は、最後まで見続けたファンや関係者の記憶にいつまでも残り続けることだろう。
日本勢では四大大会55回連続出場の杉山愛がシングルスで3回戦進出、森上亜希子は2回戦進出を果たしたが、中村藍子は1回戦で第1シードのエナンから実力の差を見せ付けられた。
女子ジュニアダブルスでは土居美咲・ボグダン(ルーマニア)が準優勝。車いすテニス“グランドスラマー”の国枝慎吾は、実力通りにシングルス&ダブルス優勝(ダブルスパートナー斎田悟司)を決めている。