


立場の全く違うふたりが、それぞれ自身3度目の全豪優勝を決めた。2007年全豪オープンテニスの優勝トロフィーを掲げ持ったのは、世界1位・シード1位・昨年王者という優勝大本命として大会に臨み、その責任を完璧に果したフェデラーと、世界81位ノーシードから勝ち上がってきた元女王セレナ・ウイリアムズだった。
自身10度目の四大大会タイトルを手にしたフェデラーは、史上最高記録に並ぶ7大会連続四大大会決勝進出、1980年全仏のビョルン・ボルグ以来(全豪では1972年のケン・ローズウォール以来)となる全ストレート勝ち=1セットたりとも落とさず優勝、とまたしてもテニス史を大幅に書き換えた。ただし本人がご満悦なのは記録だけでなく、準決勝ロディック戦を1時間23分という恐るべきスピードで制し、記憶に残る圧倒ぶりを見せ付けられたこと。
一方「コナーズ効果」でプレーの質を大幅に向上させ、3回戦でサフィンをねじ伏せていたロディックにとっては、同じ2003年四大大会初優勝組のライバルに対戦成績13-1とまた一つリードを奪われただけでなく、2003年以来の負け越しで9連敗を喫してしまったことになる。
また人生初の四大大会決勝で初優勝の夢はならなかったが、ゴンサレスはボトムハーフに属する優勝候補たちを次々蹴散らし――3回戦ヒューイット、4回戦ブレイク、準々決勝ナダル――、世界トップレベルのフォアハンドを印象付けた。ならば続く全仏では当然、得意のクレーでチリ出身の男子選手として初優勝に挑むしかない。もちろん「史上最強」にどんどん近づきつつあるフェデラーは、昨全英から続く四大大会連続優勝をパリで狙うと断言している。
昨季女王のモレスモーが4回戦で敗退する大波乱が見られた女子シングルスでは、優勝は昨全米優勝でついに黄金時代の突入が予想されたシャラポワか、それとも昨全豪準々決勝の再現でもある「復活2年目」ヒンギスvs「2007年引退」クライシュテルスの勝者か……と思われていた。昨季わずかに4大会しか出場せず、一時は世界100位圏外まで陥落した元恐怖の女王の完全復活を信じるものは多くはなかったのだ。
ただし第1回戦直後に「3度目の優勝を信じる」と自ら断言したセレナは、7試合中6試合でシード選手を蹴落とし、信念通りの結果を作り出した。これにて大会前は81位だった世界ランキングも、この優勝1000ポイントで一気に14位まで急上昇。決勝で何も出来なかったシャラポワは、1月29日から世界1位に復帰した。
日本勢では中村藍子の3回戦がシングルス最高成績。また添田豪が日本男子として2年ぶりの四大大会本戦出場を果したが、残念ながら1回戦で敗退している。車椅子トーナメントでは国枝慎吾が男子シングルスとダブルスで2冠達成という嬉しい結果をもたらした。シングルス準決勝では斎田悟司との日本人対決を制し決勝進出、ミシェル・ジェレマス(フランス)を破り優勝に輝いた。
気温40度もの猛暑でヒートポリシーが適用される日もあれば、雨の影響で試合延期が余儀なくされるなど、選手たちにとって厳しい状況での戦いが強いられた2007年全豪オープンテニス。2週間の幕を閉じたシーズン最初の大舞台を戦い抜いた選手たちは、それぞれの思いを胸に次なる大舞台全仏オープンテニスへと向かう。2007年シーズンの戦いはまだ始まったばかりだ。