


「僕のキャリアで最も大切な瞬間だった。すごく嬉しいよ。今の気持ちをうまく言葉に出来ない。」大会初出場にして大本命とされていたナダルが、激戦を制し て全仏タイトルを手に入れた。準決勝では太陽王フェデラーを倒している。「1年前は足のケガで家でテレビで見ていたよ」というナダル。これで名実ともに トッププレイヤーの仲間入りを果たしたと言っても過言ではないだろう。
アガシが1回戦で、ロディックが2回戦で敗れて早々に消えたアメリカ勢。苦手のサーフェスにてこずった感が強く残る。その一方で大会を盛り上げたのは、赤 土をこよなく愛すスペイン、アルゼンチン勢だ。決勝を戦ったナダル、プエルタ(写真)を筆頭に、ベスト4のうち3人がスペイン・アルゼンチン勢(各2人、 1人)だ。特にプエルタは、9ヶ月の出場停止明け、しかもノーシード、ノーマークから、攻めと粘りのバランスが取れた熱いプレーで、人生初のグランドスラ ム決勝に進出した。決勝も3時間24分にわたる熱戦を展開。大会を締めくくるにふさわしいテニスを見せてくれた。
男子シングルスベスト4の残る一つの席を占めたのがロシアのダビデンコ(写真)。大会中に24歳の誕生日を迎えた彼は、準々決勝では、同じロシアのサフィ ンを下したロブレド(スペイン)を倒した攻め一辺倒のスタイルは、赤土の戦い方に新たな可能性を見せた。ATPランキング一桁入り、ウィンブルドンでの上 位シード入りが確実だ。
日本勢が苦戦するなか、森田あゆみはジュニアトーナメントで、自身グランドスラム大会初のベスト4進出を果たした。自分の今の立場を冷静に把握し、ジュニアグランドスラム大会制覇という具体的な目標を持っている彼女の今後の活躍に期待したい。
女子シングルスはジュスティーヌ・エナン アルデンヌ(ベルギー)が、完全復帰ののろしを上げる二度目の全仏タイトル獲得を果たした。3回戦こそ3時間15分におよぶ苦しい戦いであったが、準決 勝、決勝はそれぞれ68分、62分と力の違いを見せ付ける圧倒的な勝利だ。大会終了後は10日間は休養を取り、万全の体調で続くシーズンに挑むという。次 に狙うのはランキング1位の座だ。
ベスト8にシャラポワ、リホベツェワ、ペトロワの3人が名前を連ねたロシア勢。エナンを最も苦しめたクズネツォワ、リホベツェワとの戦いに敗れたディメン ティエワも含めて、確実に女子テニス界の一大勢力となった。地元フランスの期待を一身に背負うモレスモーを3回戦で破った17歳のイバノビッチ、浅越、 ビーナスを下し、ベスト8に進出した昨年の全仏ジュニアチャンピオン15歳のカラタンチェバと、若い2人が大会中盤戦を盛り上げた。彼女たちの恐いもの知 らずで攻めるテニスは、大会にさわやかな風を巻き起こした。
そして決勝に進出した30歳メアリー・ピアスの復活。ベテランここにありを見せ付けるかのごとく勝ち上がっていく姿は、フランスの視線を集めただけでな く、他の選手にとっても改めて脅威に映ったことだろう。そのピアスに敗れたダベンポートとともに、タフなコンディションでも戦い抜く姿勢は見習うべきところが多い。
今後テニスツアーは芝からハードへと戦いの場を移す。男子、女子とも年間ランキング争いと絡みながら、ウィンブルドン、全米オープンと、さらなる激戦を待ち焦がれつつ、パリの赤土を後にしよう。