−大会レポート−
次代王者候補の23歳対決はジョコビッチの圧勝。イギリスの夢は散る
2011/01/30
圧巻だった。イギリスの夢、そしてアンディ・マレー(イギリス)の夢は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の圧倒的な強さの前に無惨に散った。
次代の王座を狙う23歳同士。3年ぶり2度目のグランドスラム優勝を狙うジョコビッチと、イギリス人としての1936年以来のグランドスラム・チャンピオンを夢見るマレーの対決に、1万5,000人のファンは接戦の期待を込めた。
しかし試合は序盤からジョコビッチが支配した。トマーシュ・ベルディヒ(チェコ)、ロジャー・フェデラー(スイス)と強敵をストレートでなぎ倒してきた第3シードは、中2日の休養を活かして体調も万全だ。立ち上がりのサービスゲームをラブゲームでキープすると、第2ゲームは5度のデュースでマレーにプレッシャーをかけた。
マレーは本来、ベースラインでのパワフルな打ち合いにもネットプレーにも長けた多彩なプレーが持ち味だが、ベースラインからアグレッシブに仕掛けてくるジョコビッチの攻撃力と、どんなボールにも食らいつくしぶとさに、気圧されていた。特に、長い打ち合いになると、ジョコビッチはポイントを落とさない。両者サービスキープで迎えた第10ゲームがキーゲームだった。マレーのサービス15-30で38打のロングラリー。最後はマレーがネットに引っ掛け、ジョコビッチのセットポイントでマレーのフォアがベースラインを超えた。
第2セット、ジョコビッチが5-0と一気に引き離す。ここは、第1セットを取ったジョコビッチが勢いで畳み掛けたように見えるが、実はジョコビッチは緻密な戦術を実践していた。
「アンディは単調なペースの打ち合いの中で、主導権を握るのが得意。それだけはさせたくなかった」
第1セットはパワーで押したが、第2セットになるとスライス、ドロップショット、抜き気味のフォア、とマレーの打ち気を削ぐショットを組み立ててきたのだ。この日のマレーが、小さなきっかけから流れをつかむことができなかったのも、同じ理由だろう。
しかし第3セットの序盤、マレーに反撃の兆しが多少見えた。第1ゲームをブレークでスタートした。マレーには2セットダウンからの逆転が過去4度ある。もちろんジョコビッチは警戒していたに違いない。第2ゲームをすぐに強気でブレークバックし、流れを食い止めた。
昨年12月にセルビアのエースとしてデビスカップ初優勝に貢献したジョコビッチ。デ杯を制した翌年の全豪優勝を果たしたのは93年のジム・クーリエ以来だ。短かったオフシーズンのハンデを微塵も感じさせず、高いモチベーションと強靭なフィジカルを武器に、見事な調整能力を見せた。週明けの世界ランキングは変わらず3位だが、今シーズンのジョコビッチはさらなるブレークを見せそうだ。
文・山口奈緒美(やまぐち・なおみ)
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