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第314回 大学院生活を振り返って
大変だったからこそ、充実感と達成感があります
この3月に順天堂大学大学院を修了しました(大学院生活については約1年前にコラムに書かせていただきました)。
妊婦の時に大学院に行くと決め、そこからの2年間は必死でした。子供を産んでどれだけ大変になるか、自分でも想像がつかないところからのスタートでした。“始めてしまった者勝ち”と今なら言えますが、母親になって自分の役割がまた一つ増えていく中での勉強でしたから、それはそれは忙しい2年間でした。
でも、それも自分にとって必要な時間だったと思います。また、タイミング的なこと、研究室の先生との出会いなど、いろいろな意味での「ご縁」を感じた2年間でした。先生との出会いは、同じ大学の大学院に通っていた母の紹介でしたが、この先生のもとだからやり遂げられたと感じます。同じゼミで学んだ5人も最高の仲間たちでした。
指導者になりたいという思いを持ち、では、そこには具体的にどういう形があるのか、女性コーチにはどういう可能性があるのかというのが、一つの研究の目的でした。結婚して子供を持って、という今の生活の中で、選手を教えたい、トッププロを教えたい、トップジュニアを教えたいという願望がありました。そこで、女性のトップコーチたちが、どうしてコーチの道を選んだのか、どういう選択があったのか、そこにはどういう壁が存在していたのか知りたかったのです。さらに、トップコーチはどういう考えを持っているからトップでやっていけるのかという、コーチ哲学が私の知りたいことでした。それらがまさに研究テーマとなりました。
実際に8人の女性コーチにインタビューをして、それを分析して、というのはとても楽しい作業でした。今活躍している女性コーチには、自分がツアーで戦ってきた選手、当時からコーチとして知っている方が多く、そのコネクションが生きて、幸いにもトップコーチのインタビューができました。 「あ、こういう人はこういう信念のもとでコーチングしているのか」と感心することも多く、みんなすごく勉強している、その場に止まっている人はいない、そうでないとツアーで活躍できないのだな--とコーチたちのレベルの高さを感じました。選手に常にいい影響を与えていかなくてはならない存在なので、コーチ自身が学習意欲を持ってやっていることがわかり、とても興味深いインタビューでした。
インタビューは楽しかったのですが、それを文章にまとめていく作業は大変でした。それでも、一つの論文を書くというのはすごくいい勉強になりましたね。
授業も楽しいものでした。どれだけ多くの切り口を持って、それをもとに物事を考えていけるか、意見交換ができるか、プレゼンしていけるか、という、日常ではなかなか経験できない時間でした。頭を整理して自分で考え、紙に落とし込んで資料を作り、プレゼンでわかりやすく発信していくという行程も練習できました。
研究には客観的な目が必要ですし、クリティカルに物事を見ていくということも学びました。選手も調子のいいときはプレーが客観視できて、俯瞰で見ることができるのですが、大体は主観、自分のフィーリングが基準です。もちろん選手本人がしっくりくることは重要ですが、指導者としては、物事を客観的に見たり、“これは本当にこれでいいのか”とクリティカルに見ていくことも大切です。そこを学ぶことができました。
また、オープンにいろいろな意見を聞くことと、かつ、それに流されずに最善を見つけていくという姿勢も大学院で学びました。
感想をひとことで言うなら「もう、大変だった」なのですが(笑)、大変だったからこそ、やり遂げた充実感と達成感がありますね。
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