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故障というトラウマとの戦い

2017/06/11

錦織圭

故障と戦いながらも全仏では自己最高タイの8強入りを果たした錦織圭。(写真:Getty Images)

 錦織圭にとって8度目の全仏オープンは2年ぶり2度目のベスト8だった。もっと上も期待できたが、今シーズンのここまでの流れを振り返れば上出来だろう。「もっと……たのに」と、なかなか思うようにいかないところが錦織の教えるテニスの奥深さ、そう思った方がいい。

 昨年のヨーロッパのクレーコートシーズンは、全仏オープンまでが素晴らしかった。優勝こそしなかったものの10勝3敗でパリに乗り込んだのに対し、今シーズンは5勝3敗。3月のマイアミで痛めた手首の故障が、約1カ月半の休養明けまで尾を引き、そこからの浮上に、本人もチームも苦労している。

 シーズン初め、全仏オープンをかなり意識していた。2月のデ杯の地元開催を辞退してまで南米のクレーコート大会に回った理由も、春のクレーコートシーズンを意識した説明だった。デ杯への説明はそれとして、グランドスラム4大会の中で、最もチャンスがあるのはローランギャロスではないかという見方はかなり広まっている。本人もこの固いレッドクレーでの試合展開に好感触を持っているのは確かだが、今回のテーマはもうひとつあった。

 昨年の過密日程からの虚脱感と戦っているのは錦織だけではない。アンディ・マレー、ノバク・ジョコビッチも“2016年症候群”から脱け出せず、シーズン初めの1タイトルだけでヨーロッパの夏に入って来た。ジョコビッチがチームを解散してアンドレ・アガシを臨時コーチに招聘したように、それぞれ心身の土台を何とか堅固なものに戻そうと取り組んでいるわけだが、錦織の場合には故障との戦いを、その突破口にしようとしていると見る。

 3月のマイアミで手首を痛め、バルセロナを現地で出場を断念した結果、1カ月半をおいてマドリードに出場。しかし、ここでも手首の懸念からジョコビッチとの準々決勝を直前に棄権している。かなり悪いのかと思えば、次のローマではフアン マルティン・デル ポトロと五分に打ち合っており、敗れると急遽、全仏オープン前週のジュネーブに参戦――これまではグランドスラム直前のツアー参戦は避けており、今回は試合数を補うために異例のスケジュール調整を組んだ。準決勝まで戦って、パリに乗り込んで来た。

 パリでの練習、あるいは1回戦からの戦い方からも、何らかの故障を抱えているのは確かだ。ドローとしては決して悪いドローではなかったが、いまのツアー模様に楽な組み合わせなどない。1回戦がタナシ・コキナキス。長い休養から戻ったばかりの21歳に第1セットを奪われる厳しいスタートだった。2回戦のジェレミー・シャルディは手の内を知った相手だが、12ゲーム連取で入った第3セット、2度サービスブレイクした3-0からトレーナーを呼んで右肩の手当てを受けた。このタイミングでのタイムアウトの取り方に批判があった。そこから2ブレイクバックされ逆に4-5まで盛り返されている。確かに流れを変えてしまった失策で、ここに錦織の課題が浮き彫りになっただろう。

 錦織は故障の多い選手だ。それなりの理由はあるだろうが、プロスポーツはライバルだけではなく、自分の故障との戦いでもある。かつて1年近くを棒に振った苦しい思い出があるだけ、慎重になるのは仕方がない。だが、それを後ろから押して出しくれる人もまた必要なのだ。マイケル・チャンを中心にした今回のチームの一番の仕事は、錦織の内にある故障というトラウマとの戦いにあったのではないか。その目に見える目標を手掛かりに、もう一度、昨年までの精神的エネルギーを取り戻そうという戦略だ。

 3回戦のチョン・ヒョンとの戦いは厳しかった。2セットアップからチョンに反撃され、第4セットは2度のブレイクを許して0-3にされ、ここで苦し紛れにトレーナー呼んでいる。同時に雨が降り出して、試合は中断~順延になった。「雨がなければ、100%負けていた」と錦織は振り返っている。続くベルダスコ戦も、第1セットを0-6で落とした。錦織のこれまでのグランドスラムの成績で0-6というスコアは稀だ。雨で3試合連続だった疲れならば、それはジュネーブから引っ張って来た、チームとしては想定内の試練だっただろう。ふらふらになりながら、これを乗り切って、マレーとの準々決勝、第1セットを完璧な錦織テニスで奪った。心身のエネルギーはそこでエンプティ―に――錦織といまのチームの努力としては精一杯という評価をしたい。

 この挑戦がどこで実を結ぶか、それは分からないが、試合後に「あと2試合でも、行けたと思います」という言葉をつかんでいる。

 ただし、自信をつけたのは錦織だけではない。4強に続く、錦織世代のマリン・チリッチ、ミロシュ・ラオニッチの3人が久々にグランドスラムでそろってベスト16まで勝ち上がった。デル ポトロも3回戦でマレーと激しく競り合ったし、ドミニク・ティームを筆頭に16強入りしたカレン・カチャノフ、チョン・ヒョン、全仏までに結果を出しているアレクサンダー・ズべレフ、ボルナ・チョリッチの新鋭……その戦況に再びロジャー・フェデラーが戻ってくる。テニスの奥深さを、ゆっくり味わうくらいの気持ちでいるのがいい。


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