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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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第268回 全米オープンのみどころ(大会展望編)

2016/08/26

ジョコビッチの巻き返し、セレナのモチベーションに注目です

 恒例の全米オープン展望、今回は大会全体のみどころを書いていきます。

 例年との大きな違いは、今大会はオリンピック直後の開催であることです。真夏のUSオープンシリーズはハードコートの連戦ですから、ただでさえ体に負担がかかり、全米開幕時には普段以上に疲れが蓄積すると思われます。その最中のリオ五輪でしたから、南米への往復も含め、調整は一層難しいものになるでしょう。

 前哨戦のシンシナティでは、五輪で活躍したアンディ・マレーは好調を維持したものの、錦織圭選手やラファエル・ナダルらには疲れが見られました。開幕までにどう調整できるかが結果にかかわってくるでしょう。

 ノバク・ジョコビッチとセレナ・ウイリアムズという男女のトップは、リオでメダルを逃し、翌週のシンシナティは欠場しました。二人がどう立て直すかも注目です。

 ジョコビッチは全仏で生涯グランドスラムを達成しました。やっと達成できた大記録ですから、達成感、充実感は相当なものだったでしょう。また、絶対できるという強い意志を持ち、プレッシャーに立ち向かうことで大きなエネルギーを消費したはずです。肉体的な疲れも当然あったと思います。そのあとの戦い方が難しいものになることは、ある程度、予想できました。ウィンブルドンとリオ五輪での早い敗退は、仕方ないものだったのかなと思います。

 問題はそのあとの心の持ち方です。ジョコビッチの記録とは比べものになりませんが、私自身の経験を書かせていただくなら、夢にまで見ていたトップ10に入り、大きな目標を達成した直後はモチベーションの維持、目標設定に苦労しました。ですから、ジョコビッチが大記録を成し遂げた今、どんな心持ちなのか知りたいと思いますし、今後のキャリアをどう過ごすか、すごく興味があるのです。全米では自分をかき立てて、高いモチベーションでプレーできるかどうかが注目ポイントです。

 セレナはウィンブルドンでグランドスラムの通算タイトルを22として、シュテフィ・グラフさんの記録に並びました。次の目標はマーガレット・コートさんの24勝でしょう。五輪ではメダルを逃しましたが、それだけに、自国で開催される全米では相当なモチベーションで臨むことが想像できます。

 近年は大会数をかなりしぼって、四大大会など大事な大会にピンポイントで出てきて優勝しています。今年で35歳ですから、年齢を考えても、そうした出方が一番合っているのでしょう。

 男子では、五輪をスキップしたミロシュ・ラオニッチにも注目しています。ウィンブルドンではジョン・マッケンローさんを臨時コーチに呼びましたが、彼の真摯な態度、懸ける気持ちがチーム編成にあらわれているように思います。サーブ力があるうえに、ネットでのポジションどりもよくなり、ネットプレーが上達しています。この変化はハードコートにも生かされるでしょう。今、勢いを感じる選手です。

 また、男子はここにきてチーム編成がまた変化しています。新しくコーチを招いたマリン・チリッチとグリゴール・ディミトロフは前哨戦のシンシナティで大活躍しました。彼らのパフォーマンスにも注目です。

 女子は、セレナの実力が抜きん出ていますが、そろそろ他の選手の追い上げにも期待したいところです。シンシナティ準優勝のアンジェリック・ケルバーはランキングでセレナに迫っています。また、全仏優勝のガルビネ・ムグルッサは、直後のウィンブルドンこそ早く敗退してしまいましたが、実力がある選手なので、これからまだまだグランドスラム・タイトルを取りそうです。セレナにも力負けしなかった全仏が、彼女には自信の支えになるでしょう。

 ほかには、マディソン・キーズ、ココ・バンダウェイなど、今、勢いのあるアメリカの若手も、地の利が生かせる全米オープンですから爆発が期待できます。



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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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