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Column コラム

杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

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杉山愛 オリジナルコラム「愛's EYE」

第192回 錦織選手のメンフィスオープン展望

2015/02/09

写真:テニスジャパン/アフロ

■ポイントのディフェンドを意識せず、「ひとつずつ」ですね

 今回の全豪オープンで錦織選手の優勝を期待していた方には、ベスト8は少し物足りない結果に映るかもしれません。でも、グランドスラムで2週目まで勝ち残ること、ベスト8に残ることは決して簡単ではありません。開幕戦のブリスベン国際でもベスト4ですし、シーズンの好スタートが切れたと言っていいと思います。

 今年の錦織選手は、相手に向かってこられる立場、研究される立場として、今まで経験したことのない境地に身を置いてツアーを回らなければなりません。また、昨年大活躍した分、ディフェンドするポイントもたくさんあります(注:ランキングポイントは52週間で失効するため、同等のポイントを新たに獲得=ディフェンドしなければランキングが下がってしまう)。

 それを気にせず自分の力を出しきることができるかどうかで、トップ5にステイできるか、さらに上に行けるかが決まってきます。その意味で、全豪での、特に1回戦から3回戦までのプレーは立派だったと思います。

 周りの期待は高まり、いい調整ができて調子もよかったことで自分自身への期待も高かったでしょう。そういう時は案外難しいもの。昨年の全米が逆の例で、怪我があって不安を抱えながらの開幕。「できるかな?」くらいの感じで大会を迎えるときは、自分自身への期待感がない分--楽に戦えるというと語弊がありますが、気持ちの中でエクスキューズがあるため、「できるところまでやろう」という考え方に徹することができるのです。ところが、今回の全豪のようにすべての準備が整っていると、ワクワクする気持ちが逆にプレッシャーにも感じられ、緊張が高まるというのはよくあることなのです。

 しかし、錦織選手はそこを上手に整理しながら戦いました。3回戦までの相手はランキングでは格下で、思い切りぶつかってきましたが、それをうまく受け止め、最終的には自分のテニスを見せて、尻上がりにいい形で試合を終えていました。シード選手の風格さえ感じましたよね。フェレールとの4回戦も、上位シード選手を相手に、格の違いを見せたというか、錦織選手の成長を見て取ることができた試合でした。

 1週空いて、次の大会がアメリカのメンフィスオープンです。錦織選手は第1シードですが、選手の顔ぶれを見ても、決して楽に勝てる相手はいません。インドアのハードコートで行う大会ですから、ビッグサーバーが有利なのですが、予想通り、名だたるビッグサーブの持ち主がこぞってエントリーしています。一つ一つが簡単な試合にはならないでしょう。

 ただ、錦織選手にとっても、去年まで2連覇している相性のいい大会です。

 球足の速いサーフェスですが、相手がビッグサーバーでも、リターンを返してグラウンドストロークのラリーに持ち込んでしまえば……、というところはあると思います。実際、去年もリターンを返してインプレーに持ち込めば錦織選手の優位は明らかでした。相手のサーブをなんとか返してしまえば、錦織選手の攻撃力、展開の速さがものを言うでしょう。

 優勝してポイントをディフェンドしなくてはいけないというプレッシャーもなくはないと思いますが、それより、自分の好きな場所に戻ってくることができたという気持ちの方が大きいでしょう。ディフェンドを考えるより、気持ちを新たに、ひとつずつ、という考え方が大切なのかなと思います。


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杉山 愛

杉山 愛
生年月日:1975年7月5日
出身:神奈川県
主な戦績:
WTAツアー最高世界ランク シングルス8位 ダブルス1位
国際公式戦勝利数:シングルス492勝 ダブルス566勝
WTAツアー:シングルス優勝回数6回
ダブルス優勝回数38回
グランドスラムダブルス最高成績:全豪準優勝(2009年)、ウィンブルドン優勝(2003年)、全仏優勝(2003年)、全米優勝(2000年)
公式戦通算試合数:1772試合(シングルスとダブルス)
グランドスラム連続出場の歴代2位記録(62大会・女子1位)を持つ。

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