2012年シーズンを占うグランドスラム初戦が開幕!!

R.ナダル 写真:アフロ
R.フェデラー 写真:AP/アフロ
■“無敵の王者”に対する元王者2人の戦いに注目
真冬の空の下から南半球に思いを馳せ、テニスファンにはワクワクする季節がやってきた。しかし、オフの短いトッププレーヤーには特に調整の難しい大会と言われるのがこの全豪オープンだ。今年も有力選手の“ケガ”は大会の展望を占う上で重要になっている。
中でも気がかりなのは昨年終盤から左肩を痛めているラファエル・ナダル(スペイン)で、全豪後に数週間の休養をとることを発表している。昨年はデビスカップ優勝で1年を締めくくったものの、その後ラケットを重く変えたこともあり、開幕からの戦いぶりを見てもコンディションのピークはまだ遠い。肩が完治しない中、さらなるパワーアップを目指して踏み切ったラケット変更には今季の覚悟がうかがえるが、その賭けがどう出るか。
また、昨年終盤は絶好調だったロジャー・フェデラー(スイス)も前哨戦のカタールオープンでは背中のケガのため準決勝を棄権。棄権はしないというポリシーを強く持ってきたフェデラーも30歳、多少の方針転換は無理もなく、「大事をとった」とも考えられるが、アブダビのエキシビションでもノバク・ジョコビッチ(セルビア)にわずか44分で敗れるなど、2年ぶりのグランドスラム優勝への期待が徐々に薄らいでいる。
そんな二人の元王者を尻目に、「開幕の状態としては去年よりいい」と万全のコンディションをアピールしているのが、昨年“無敵の王者”の称号を手にしたジョコビッチ。終盤に背中のケガや疲れで失速したが、オフのリフレッシュには成功したようだ。幸い故障も深刻なものではなく、“肩ならし”のアブダビでは先述のようにフェデラーを圧倒したほかダビド・フェレール(スペイン)らトップ5をやすやすと連破して優勝してみせた。「ビッグ4」のもう一人はアンディ・マレー(イギリス)で、元王者イワン・レンドル氏をコーチにつけて話題を呼んでいるが、開幕戦のブリスベン国際で優勝するなど今年もいいスタートを切った。過去2年決勝に進出している全豪だけに、強い思い入れで臨むだろう。
昨年ベスト4入りしたフェレールは「上の4人とそれ以外の力の差は大きい」と言うが、全豪では“下克上”ムードも高まる。そのフェレール本人をはじめ、ドーハを制したジョーウィルフライ・ツォンガ(フランス)、完全復活が期待されるフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)などがビッグ4に割り込むか。ツォンガは08年に準優勝するなど全豪のサーフェスとの相性も良く、デル ポトロは、05年の全仏オープン以降、ジョコビッチとナダルとフェデラーのビッグ3以外でグランドスラムを制した唯一の選手でもある。
そしてなんといっても楽しみなのが日本勢。昨年終盤にはジョコビッチやツォンガも破る活躍で世界ランクを24位まで上げ、グランドスラムでは初めてシードがつく錦織圭はもちろん、“250”のエアセル・チェンナイ・オープンでは添田豪が予選からベスト4に進出し、杉田祐一も同じく予選からベスト8の快挙を果たした。ブリスベン国際では伊藤竜馬も予選突破し2回戦に進み、彼らの本戦入りにも大いに期待が膨らむ。
世界の「錦織世代」としては、エアセル・チェンナイ・オープンを制した若手ナンバーワンの弾丸サーバー、21歳のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)や、昨年ウィンブルドンでベスト8入りも果たした19歳バーナード・トミック(オーストラリア)にも要注目だ。

C.ウォズニアッキ 写真:ロイター/アフロ
P.クビトバ 写真:AP/アフロ
■混沌の女子、女王の座は誰のもの?
女子の最大の見どころは“女王交代”。グランドスラムタイトルはなくても女王の座は守ってきたカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)に迫っているのが21歳のペトラ・クビトバ(チェコ)だ。昨年はウィンブルドンとツアー最終戦を含めた6タイトルを獲得し、フェドカップでもエースとして優勝に貢献した。ウォズニアッキとのポイント差は約300。グランドスラムの優勝ポイントは2000、準優勝が1400、ベスト4が900という配分を考えれば、ここでの女王交代劇も十分ありうる。しかも失うポイントはウォズニアッキのほうが400点多い。
若い女王争いの行方は、復帰してきた元女王たちのコンディションにもかかっている。まず、昨年は肩や手首、足首、腹筋と度重なるケガに苦しみ、8月からは完全にツアーを離脱したキム・クライシュテルス(ベルギー)。ディフェンディング・チャンピオンとして臨む全豪オープンに向け、「全て順調にきている」と気分も上々だったが、ブリスベン国際は臀部を痛めて準決勝を途中棄権した。“カムバック女王”もそろそろ限界なのだろうか。
そして、全米オープン決勝以来4か月ぶりにツアー復帰したセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)も、出場しさえすれば優勝候補に挙げられるが、復帰戦のブリスベン国際では左足首を痛めて準々決勝を棄権。一時は出場さえ危ぶまれたが、本人はやる気を見せている。過去5回の優勝を誇る全豪は、幾度もケガや病気を乗り越えて劇的な復活を遂げた場所だ。30歳の元女王はまだ侮れない。08年優勝のマリア・シャラポワ(ロシア)も、昨年の東レ・パンパシフィック・オープンで痛めた足首のせいでシーズン終盤を棒に振っており、まだ不安が残る。
昨年はグランドスラム大会の優勝者が全て異なり、うち3人がグランドスラム初優勝。女子の混沌状況の表れと言われたが、やはり先に挙げたクビトバをはじめ昨年のグランドスラムチャンピオンは有力だ。全米オープンを制したサマンサ・ストーサー(オーストラリア)は今度は自国でのタイトルを狙う。地元の期待の中、プレッシャーに弱いと言われたかつての評価を覆せるか。全仏チャンピオンのリー・ナ(中国)は、昨年ここでグランドスラム初の決勝進出を果たし、一昨年は同郷のジェン・ジーと揃ってのベスト4入りで旋風を巻き起こした。そのジェンも前哨戦のASBクラシックで約5年半ぶりのツアータイトルを獲得しており、今年も中国勢がひと暴れしそうだ。
負けていられない日本勢は、昨年初めてトップ50でシーズンを終えた森田あゆみと、シーズン終盤の粘りでトップ100に這い上がったクルム伊達公子が本戦ストレートイン。過去3年、オークランド(ASBクラシック)で開幕戦を迎えた伊達は方針を変え、今年は中国で5万ドルのITF大会からスタートさせた。試合数をこなす目的と考えられるが、そこで見事優勝。その勢いを全豪での復帰後初勝利につなげたい。












