さて、NBAファイナルが2-3-2のフォーマットになって以来、Game3を取ったチームの92%が優勝という大事な試合が始まる前に、マイアミ・ヒートのBIG3結成から1番目、そしてファイナルの歴史の中でも3番目の得点差でヒートが敗れると言ったら、みんな僕の事を笑ったことでしょう。
今夜のGame3は、そんなまさかのヒート大敗。一方、サンアントニオ・スパーズのBIG3は一緒になってプレーオフ100勝目。またひとつ歴史を刻みました。
まぁ、こんな事を書きつつも、スパーズの3人が「1勝は1勝であって、関係ないよ。チャンピオンシップが全て。」と語る様が簡単に想像出来るし、レブロンも「何点差で負けようと切り替えて次に備える。」と実際にコメントしていました。歴史に残るシリーズを期待しつつ、連日取材しているものの、ジェットコースターの様な高低差で1試合1試合内容が変わっているので、もう頭がグルグル回っています(笑)

　今日の試合がどれだけ特殊だったか、数字でもプレーでもない、取材形式で1番感じました！試合が終わると取材を許されたメディアはロッカールームに行って選手の取材をするのですが、なんと今夜はレブロン・ジェイムスが公式記者会見場でインタビュー対応をせず、ロッカールームで取材を受けたのです！これには本当にビックリしました！

　何故なら、通常チームの代表的な選手は自動的に公式記者会見場に行く事が決まるので、ロッカールームでマイクを向けて間近で取材出来る事なんてほとんど無いんです！しかも、レブロンだけでなく、スパーズのパーカーやジノビリもロッカールーム対応。>
僕がWOWOWのNBA放送に携わってから、そして去年、今年とファイナル取材をしていてレブロン・ジェイムスが公式記者会見場で取材対応をしない試合はなかったはずです。

　今日の主役は両チームのBIG3ではなく、大爆発したスパーズのゲイリー・ニールや、ダニー・グリーン！公式記者会見場にもこの2人が行きました。AT&Tセンターのメディア席から見ていても、スパーズの流れるパス回しから2人の3Pを観ていると、思わず「グッパ！(グッドパス)」、「うわっ！」と声をあげてしまうほど。対象的にヒートはGame2で活躍したチャルマーズが大ブレーキ。好調を維持するマイク・ミラー以外のベンチメンバーも存在感が薄かった。

　試合前のコートサイドの中継は、ブレント・バリーを迎えて日本のみなさんにお届けしましたが、コーチのゲームプランをいかに徹底出来るか！？これがファイナル優勝の1番のカギだとと言う彼の言葉を試合中に何度も思い出しました。スパーズはレブロンには常に外から打たせるように仕向け、ドライブや速攻のアタックには2人以上人数をかけてパスを捌かせる。これを終始徹底出来ていたと思います。そして、ディフェンスからヒートのお株を奪う速攻をお見舞いしていたのです。

　ここで、Game2が終わった時点で僕が感じていた疑問が再び浮上。ヒートは追い込まれないと本当の意味で集中出来ないのか？それとも単にスパーズが良すぎたのか？みなさんはGame3をどう見ましたか？まだまだレブロンが本気モードの様には感じないんだよなぁ…試合後にヒートの選手がロッカーに下がるところを間近で見ていたのですが、無表情がなんとも言えないもの悲しさでした。明日の練習ではどう変わっているのか…

　それと、トニー・パーカーが太腿の裏(ハムストリングス)を痛め、明日にMRIの検査を受けるとのことなのでちょっと心配です。キャリアのピークパフォーマンスをしているトニーが抜けては面白くない。最終的に優勝しようと、決してヒートも怪我によってシリーズの行方が決まる事は望んでいないはずです。

という訳で、各国のアナリストやコメンテーターの悲鳴が聞こえて来そうな、ますます展開が分からないシリーズ。ジェットコースターはまだまだ続きます！まぁ、せっかく乗り込んだジェットコースターだから、ファンと一緒に安全ベルトから手を離して高く上げ、大声を出して楽しみたいと思ってます！みなさん、くれぐれもカーブや急降下で投げ出されないようにね！
それではまた明日！Stay right here with WOWOW!