佐々木クリスが語る「スパーズが超えようとする荒波」

  • 2018/3/5

カワイ・レナード

たとえゴールデンステイト・ウォリアーズが過去3年間で2度の優勝を果たしていようと、NBAファンの中で「常勝軍団」と言えば、サンアントニオ・スパーズであることは疑いようがない。もはや同義語といってもいいだろう。

球団の盤石さは他の追随を許さない。過去21年間の勝率.707は2位以下を大きく引き離す比類なきものだ…要石は言わずと知れたグレッグ・ポポビッチ。ヘッドコーチ(HC)でありながら組織を束ねるバスケットボール・オペレーションズの社長で、2016年に19年のキャリアに終止符を打つまでコート上の揺るぎないリーダーであり、シーズンMVP2回、ファイナルMVP3回を受賞したティム・ダンカンとは親子のような固い絆で、チームを5度の優勝に導いた。

ダンカンが年齢を重ねる毎に、“今年こそスパーズが優勝争いから脱落する年”と、シーズン前に予想するアナリストが現れては、シーズンの終了と共にそういった声が儚く散っていくことが何年続いたであろうか… スパーズはNBAの誰よりもNBAの栄枯盛衰、荒波を上手く乗り越えて来たのだ。

今年もまた、シーズンMVPの有力候補であったエースのカワイ・レナード、スターポイントガード(PG)のトニー・パーカーが怪我で開幕に間に合わないながらも、シーズンの3分の2以上を消化した現地2/27時点でウェスタン・カンファレンス4位に付けており、組織力の高さを遺憾なく発揮している。ダンカン、パーカーと並びこちらも殿堂入り確実と目されるマヌ・ジノビリ、そしてパウ・ガソルは高齢化。オフシーズンに補強できた特筆すべき選手はアキレス腱断裂の大怪我から復帰しようとしていたルディ・ゲイだけだ。結局右腿、四頭筋腱障害からレナードは現地12月12日のダラス・マーベリックス戦から復帰をしたが9試合に出場した後、再び戦列を離れてしまった。それでも、のディビジョン3位である。

ポポビッチの舵取りを頼りに、変わらぬ組織力を見せるスパーズは、若手の育成も抜かりなく、4年目のオールラウンダー カイル・アンダーソンと、196cmのPGで両手を伸ばした端から端までの長さが208cmもある、現代NBAの攻防にうってつけのデジャンテ・マレーはメキメキと頭角を表している。

過去にスパーズを扱ったコラムでは、21年もの間いかに彼らがバスケットボールの戦術を変化させたことで、NBA界の目紛しい新陳代謝を生き残ってきたのかに触れてきた。それはある意味今季も成功していると言えるだろう。オールスターを挟んで4連敗を喫するも、直近のクリーブランド・キャバリアーズ戦では大補強で注目を集める東の強豪相手に快勝している。あとは大エースであるレナードが戻ってプレーオフに乗り込む準備をするだけだ。

しかし、ここ1週間のうちにレナードの復帰と球団との関係性について、様々な憶測が飛び交うようになった。
端を発しているのはポポビッチHCが調整日の囲み取材で、「もう今季残された試合数は一定数しかない。(レナードが)復帰したとしても論理的に言って良いことかも分からない。レナードが今季復帰すれば、それは驚きを伴う」とコメントしたことなのだが、スパーズは情報の公開と言う面で非常にしっかりと計算をしてきた球団であり、特に選手の健康状態のコントロールと、その情報には常々細心の注意を払っているということは、長くNBAを観戦してきたファンならばよく知るところだろう。ポポビッチHCが何の考えも無しに意味深な発言をすることは極めて稀であり、「メディアと言う回路を使って、このコメントはレナードに向けて発せられた」と現地有名記者ウィンホースト氏もコメントをしている。

すると今度は、別の現地ESPNの記者が「レナードはすでにチーム内のメディカルスタッフの、健康状態を鑑みた復帰の条件はクリアしている」と、暗にチームはGOサインを出しているが、レナード側が復帰を拒んでいるということを示唆したのだ。しかもレナードはセカンドオピニオンを求めるためニューヨークに移り、そこで独自の調整を行っているとも…

前出のウィンホースト記者は3ヶ月ほど前に、球団側はレナードに200億円規模の5年間の契約延長を提案したが、これで球団側の考えが変わる可能性があるとも言及している。

この一連の報道がなされている間もレナード本人は沈黙を貫いている。スパーズの番記者は、「長年球団に対し強い忠誠心を持つファンたちも、なぜレナードが黙っているのかについて業を煮やしていて、あまりメディアに出たがらない彼だが沈黙は物事を悪化させている。せめてSNSでも何でも、簡単な一文で“慎重に怪我の経過を見極めている”とファンに伝えるべきで、彼らはレナードの言葉に飢えている」との見解も示した。

難しいのは、憶測が憶測を呼んでいることだろうか。NBAの球団関係者からすればトレード期限などに出回る噂のレベルを出ていない話かもしれない。しかし我々ファンはどうしても一喜一憂してしまうものだ。
“レナードは怪我を抱えながら、ボストンからクリーブランド、クリーブランドからロサンゼルスへと送られたアイザイヤ・トーマスと同じ轍を踏まないようにしている”と、こういったリポートも年々高額になるスーパースターたちの年俸を考えれば致し方ないのかもしれない。

そんなレナードが不在の中、ラマーカス・オルドリッジを今季のチームMVPにまで高めることで、高順位を維持してきたスパーズ。元来大物FAの希望リストの上位に位置する場所ではないサンアントニオ。2015年のFA戦線でオルドリッジを獲得したこと自体、近年のスパーズにはないサプライズでもあった。しかし2017年の夏にはオルドリッジがトレードを申し出たとまで言われつつ、ポポビッチとの腹を割った対話と2020年までの契約延長で引き止めた経緯がある。確たることは言えないが、にわかに例年とは違ったことが球団周辺で起きていることだけは間違いない。

2014年、レブロン・ジェームズ擁するマイアミ・ヒートを下し、スパーズがトロフィーを掲げる原動力となった、ファイナルMVPのカワイ・レナード。最新の報道ではニューヨークの選手会体育館での調整から、サンアントニオにある練習施設に戻り、チームに合流したとされ3月上旬の復帰か?とも言われているが、このまま収束に向かえばポポビッチのメディア戦略はまたも違った形で勝利をあげたことになる。

それでもNBA史上、コート内外も敵味方も問わず、最もリスペクトを集めてきたポポビッチ最大の山場が静かに訪れ、綱渡りはレナードの2019年以降の在籍も担保する契約延長まで続くとみるのは間違っていない。2020年にはアメリカ代表を率いて東京にも来ることが決まっているレジェンドHCは水面の下に隠れた大きな渦に飲み込まれないよう、船団を率いて目指すべき岸にたどり着くことができるだろうか。レナードのみならず、マレーもバトンを繋ぐスターとなれるか?今季のスパーズの「成功」はチャンピオンシップ獲得という概念に収まらないだろう…
21年もの間「常勝軍団」として君臨してきたこと自体が偉業。しかし諸行無常なれば、我々が今見聞きしている様々な事象が、船底に空いた小さな穴からの浸水の始まりなのか… 定かではない。しかしファンならば注視すべき静かなうねりなのだ。

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