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【第8回】最後は苦しみながら団結したチームに神様がほほ笑む――都並敏史

いよいよ最終節を迎えたリーガ・エスパニョーラ。優勝争いからは、終盤で好調をキープしていたレアル・マドリードが脱落。シメオネ率いるアトレティコ・マドリードは、残り1試合まで首位を守り抜き、最終節で勝ち点3差の2位バルセロナとアウェイで対戦。勝った方が優勝という、1シーズンの命運をかけた世紀の大一番が実現することになった。この極限のゲームで、勝敗を分けるポイントは何か?数々の重要なゲームを戦ってきた都並敏史氏が、その経験を元に“サッカーの神様”はどちらを選ぶのか語る。

5月15日更新

■どうしようもできない運みたいなものが、最後はサッカーを左右する

――いよいよ最終節です。ここまでのリーガに対する率直な印象をお願いします

終盤良かったレアル・マドリードが、優勝争いから脱落したのは意外でした。バルセロナは最後にもっと熟成してくるだろうと思って見ていましたが、少しもたついた印象です。アトレティコ・マドリードは安定感があったので、最後までトップ3に入ったまま最終節を迎えたのは予想通りかな。

――アトレティコ・マドリードのここまでの躍進を予想した人は少なかったと思うのですが、要因は何でしょうか?

都並敏史

シメオネ監督の戦術がしっかりチームに浸透していますよね。3年目を迎えた今季は、采配にも深みがありました。相手のストロングポイントを抑えながら、自分たちの良さを出せていたし、非常に安定していたと思います。

――個々の選手の活躍もありましたが、シメオネの存在感も大きかったですね

ジエゴ・コスタのゴールや、コケのアシストの多さなど、個人の活躍もあります。ただ、アトレティコが躍進した理由は、間違いなくチームのハードワーク。それは、監督のアプローチとオーガナイズによる賜物です。
全ての根底は、守備の改善にある。守備が安定したチームでないと、ライバルチームを追い込んでリーガを勝ち抜くのは難しい。そして、攻撃と守備のバランスが悪くても成り立たない。守備をベースに攻守のバランスを整えたところ。その整え方が、シメオネ監督の最大の功績だと思いますね。

――最終節、バルセロナとアトレティコ・マドリード、勝った方が優勝です。予想をお願いします

会場がカンプ・ノウですが、最後に笑うのはアトレティコ・マドリードだと思います。これは戦術的にどちらが完成されているとか、メッシがいるとかではなく、自分が今まで見て感じてきた経験からの予想です。
1シーズンを通してチームで団結して戦ってきた、そういうチームに運が舞い降りるのがサッカーです。37節までにも、色々なミスや不思議な光景がたくさんありました。そして、最終節に一番のドラマを残すように、神様が準備しているんじゃないかなと思っています。そういう時に神様が味方するのは、アトレティコ・マドリードのように苦しみながら頑張って団結してきたチームだと思うんです。

バルセロナももちろん素晴らしいチームです。ただ、ピッチ内外に問題を抱えたままスタートして、なんとかマルティーノ監督がまとめてきたものの、ファンとの一体感を見ても一番良い年とは言えない。よくここまで来ましたが『そんなに甘くないんじゃないかな?』というのが、僕がここまで42年サッカーをやってきた人生観です(笑)。
自分たちにはどうしようもできない運みたいなものが、最後はサッカーを左右する。最終節では、37節で堅かったビジャが決めたり、ガビやコケなど中心選手が笑顔を見せる。そんな図が見えるんじゃないかと思っています。

――都並さんご自身は、最終節で優勝が決まるという状況は経験がありますか?また、こういうゲームで重要になるものは何でしょう?

あったと思います。緊張感でミスできないような雰囲気がありました。そういう時、一年間かけて積み上げてきたものがあると違うパワーが生まれて、ポストに当たったボールが内側に来たり、味方の誰かがこぼれ球を決めたりする。その感覚は、優勝するチーム特有のもの。逆に、優勝を逃す方はそれがどこかでズレている。
チームには必ず、日の当たる人と当たらない人がいます。それが混在する中でそれぞれの不満を聞いて、監督やキャプテンといった人たちがまとめていく。その積み重ねが、1点入れた時に全員集まって喜ぶとか、全体のチームの雰囲気に出る。そういった面でも、今はアトレティコ・マドリードに少し分があるのかなという気がします。

■ネイマールを中心に据えたチーム作りに無理が生じたバルセロナ

――2強の印象を教えていただきたいのですが、優勝目前まで来たバルセロナに関してはどうですか?

大きかったのは、シーズン前にネイマールという大きな存在を入れたことです。もちろん彼は素晴らしい選手ですが、彼中心にチームをまとめていくのは、雰囲気・戦術面を含めて非常に難しい部分があったことは否めない。
マルティーノ監督もバルセロナが持つ良さを踏襲しながら、徐々に自分のサッカースタイルを取り入れようと努力したと思います。ですが、前任者たちが作ったものがあまりにもレベルが高かった。その中で、選手たちがどちらに針を振ったらいいのか見つけられないまま進んできた。そういう気がします。

――重要なゲームで勝ちきれないことも多かったですね

ネイマール、フアンフラン

サッカーは戦術だけじゃないですが、戦術というのも確かにひとつの拠り所で、そのバランスが少し悪かった気がします。苦労してここまで来ているのだから、十分に素晴らしいですが、最も素晴らしい時代と比べると…。グアルディオラのサッカーが世界を魅了したチームですから、さすがに厳しい部分があったと思います。

――レアル・マドリードは、最後に優勝に手が届きそうな状況まで調子をあげてきました

レアル・マドリードは、アンチェロッティの手腕に脱帽という感じでしたね。バルセロナと同じようにベイルという大きな存在が入って、みんなも苦労したし、ベイルも難しそうだった。ところが落とし所を見つけてくるアンチェロッティは、本当に監督としてうまい。チームは終盤で、ガーッとスピードアップして、ヨーロッパ最強のレベルにまで仕上がった。これはチャンピオンズリーグ決勝に残っていることでも、証明されています。

――では、失速のポイントはどこにあったと思いますか

その一つの理由としては、ディエゴ・ロペスを触ってしまった瞬間に、運が逃げたような気もしますね。当然疲れがある中でも、人間だからチャンピオンズリーグで残っていれば、どちらも欲しくなる。そこで、チャンピオンズリーグも欲しいからカシージャスも、リーグ戦で使っておこうという思いが出た。
でも、結構こういうのが大きいんです。サッカーをやっている人間からすると、これは明らかに風が吹くし、波風が起きる。もちろんカシージャスは全く関係ないですが、他の選手の気持ちに、少し落胆や安心が芽生えたりする。そういう時に身体と心のバランスが悪くなって、筋肉系のトラブルが起きたり、信じられないようなミスが起きる。そういうケースが多々あるんです。そこは智将アンチェロッティも、自分で難しさを感じているんじゃないですかね。

■サッカーの技術・戦術のレベルを越えたドラマを感じて欲しい

――リーガ終了後には、ワールドカップが行われますが、スペイン代表に対する期待は?

都並敏史

スペインは世界チャンピオンに君臨している国です。今大会も当然優勝候補に挙げるべき存在だと思います。ただ、相手を驚かせるようなポゼッションサッカーは、運動量やパスワークによって作り上げなければいけない。それをあの南米の暑さの中で実践するのは、ドリブラーのいないスペイン代表にとって、すごく難しい十字架を背負だと思います。そこそこはいくだろうけど、ちょっと厳しいかなと見ています。予選からチリに苦しむんじゃないですかね。

――日本代表はどれだけ勝ち上がれるでしょうか?

日本代表は解説を抜きにして、絶対に勝ち上がってもらいたいです。冷静に見て3戦全敗もありうるグループですし、うまくいけば全勝もあるようなグループ。なので、戦い方次第で変わってくるでしょう。
初戦のコートジボワールに対して、しっかり身体で守り、彼らの穴をうまくつけば、必ず勝てます。それを最初に表現して、2戦目で勝ち点6にして、コロンビアに負けてもいい状況を作っておく。そうじゃないと、コロンビアの攻撃力はかなりのものがあるので、なかなか難しいと思いますね。とにかく、勝ち上がってもらいたいと思います。
グループを勝ち抜けば、D組1位は僕の予想だとウルグアイなので、フォルランから情報をもらって勝つ(笑)。そして次に来るのはスペインなので、その試合が見られたら最高ですね。

――では、最終節を待つリーガファンの皆さまへメッセージをお願いします

僕はサッカーの神様はいると信じているんです。サッカーをプレーした人間は確実に感じていると思いますが、これが今回の最終節では画面を通して感じられると思います。そのゲーム展開の中で、この1シーズンの流れをバルセロナが超えるもかもしれない。その時はメッシが確実に活躍して、特別な存在であることを見せるでしょうし、あるいはティト(・ビラノバ)の魂が降りてくるかもしれない。もちろん、順位通りアトレティコ・マドリードの絆の強さが、勝利するかもしれない。
そういったサッカーの技術・戦術のレベルを越えたドラマを、ブラウン管の中から感じ取ってほしいし、そんなゲームを期待したいです。

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