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コラム / 海外ボクシングコラムVol.57

事前計量の義務化と失格
~ボクシングの基礎知識 計量(3)~
リオスら体重超過の常連も

選手の健康面を考慮して計量が試合当日から試合前日に変更されたが、これを逆手にとって以前にも増して過度な減量をする選手があとを絶たないという現状がある。まったくもって本末転倒なのだが、これは現実の話だ。そのため試合を管理する側は数年前から大試合の際に事前計量を行うことで対応するようになった。

最初に事前計量を義務づけたのは米国東海岸のファイトタウン、アトランティックシティを抱えるニュージャージー州コミッションだった。たび重なる体重オーバーによってファンの興味を削ぐというケースが増加してきたことを危惧し、その対策として試合1ヵ月前と1週間前の計量を行うルールを採用したのだ。WBCをはじめ各統括団体もこれに続き、いまではその都度、選手の体重が公表されるまでになった。

原則として試合1ヵ月前の時点で該当階級の10%以内、1週間前で5%以内に収めていなければならないとされる。このルールに抵触したとして元世界フライ級王者ロレンソ・パーラ(ベネズエラ)の世界戦にWBAが「待った」をかけたことがあったが、こうした事例は珍しい。このときは別の理由があったとも伝えられる。

本計量の前に2度のハードルが設けられたが、その効果のほどは疑問だ。計量失格者が現在も後を絶たないからである。昨秋からの9ヵ月間だけでも、WBA世界L・フライ級挑戦者オマール・ソト(メキシコ)、WBA世界ライト級王者ブランドン・リオス(米)、WBC世界S・ライト級王者エリック・モラレス(メキシコ)が世界戦を前に体重オーバーで失格になっているのだ。リオスに至っては昨年12月と今年4月の2度、世界戦を前に失敗しているのだから開いたプロ意識を疑われても仕方あるまい。
世界戦以外でも、“常連”として知られる元世界王者ホセ・ルイス・カスティージョ(メキシコ)が3月の試合前日に体重オーバー、試合そのものがキャンセルになっている。 ちなみにモラレスは最初の計量失敗直後に水を飲み再計量を拒否。カスティージョは2時間の猶予時間内に再度秤に乗ったが、そのときは最初の計量時より4ポンド(約1.6キロ)も増えていたというのだから開いた口が塞がらない。

なお、ルールでは王者が計量で失格した場合、その時点で王座は剥奪され空位となる。挑戦者が勝てば新王者となり、負ければ王座は空いたままとなって改めて決定戦が行われる。また、挑戦者が計量失格の場合は勝敗に関係なく王座の移動はない。

多くの場合、一方の選手が体重超過であってもイベントを保護するために試合は開催されるが、当然のことながら試合当日の体重制限をするなど失格者には厳しい条件が付きつけられる。また、失格者から罰金を徴収し、相手の報酬に上乗せすることもある。モラレスの場合は100万ドル(約8000万円)の報酬の5%に相当する5万ドル(約400万円)を相手側に罰金として支払っている。

減量と計量は体重制競技にとっては永遠のテーマともいえる。世界タイトルの価値が問われている現在だからこそ、以前にも増して選手の自制心、プロ意識が試されているといえそうだ。


Written by ボクシングライター原功

ブランドン・リオス

2012年4月 対リカルド・アブリル戦の計量失敗時の模様

©NAOKI FUKUDA

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