コラム / 海外ボクシングコラムVol.48
ボクシングの基礎知識 採点方法
前回はジャッジが採点する際の基準を示したが、今回は具体的にどんな配点システムになっているのかを説明しよう。
世界戦12ラウンド制や細かな体重制が敷かれる以前のことだが、ラウンドに制限を設けずにどちらかが昏倒して続けられなくなるまで延々戦ったという記録も残っている。なんとも無謀な時代があったものだ。
KO(TKO)決着に至らなかった場合、現在は4回戦ならば4ラウンドを、10回戦ならば10ラウンドを両選手が戦いきった時点で勝負は判定に持ち込まれる決まりになっている。
ジャッジ3人制が普及していることや採点基準に関してはこれまでに触れてきたが、では実際にはどんな配点がなされているのだろうか。
かつては世界各地で「5点法」が長いこと採用されていたが、微差が反映されないためイーブン(互角)のラウンドが多くなってしまった。そのため現在では世界のほとんどの国や地域で「10点法」が採られている。
日本ボクシングコミッション(JBC)のルール・ブック第103条には、採点方法として具体的な数字を出して説明がある。
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1.採点は10点法による。その分類は、試合内容に従って、次の4段階とする。
- (一)10対10 互角のとき
- (二)10対9 一方が優勢であるとき
- (三)10対8 相手をノックダウン又はこれに近い状態にさせる等 一方が明らかに優勢であるとき
- (四)10対7 相手を2度ノックダウンさせ、又はノックダウンしてノックアウト寸前の状態にさせる等 一方が圧倒的に優勢であるとき
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2.10対6はつけないこととし、この場合は当然にTKOとなる
(ルール・ブックの原文のまま)
各ラウンドは独立した採点単位とされ、一方を必ず10点満点として劣勢だった方から減点するシステムになっている。
実際の試合では、どちらが有利だったかを見極めるのが難しい拮抗したラウンドが多い。そのため日本国内の試合では以前から無理に優劣を振り分けず、10対10が頻発される傾向にある。これはこれで現実に即した方法だと思うのだが、世界戦では微差であっても10対9と採点するよう指示されている。「10点法の利点は微差が反映されることにある。よって12ラウンドのうちイーブンは多くても2回まで」というトップのお達しがあったほどだ。
そういえば80年代のことだが、日本人ジャッジがアメリカで世界戦の採点をしたところ、振り分けたラウンド総数よりも10対10とつけたラウンドの方が多かったため「この試合の勝者はミスター・イーブンだな」と痛烈に皮肉られたこともあった。
しかし、現行のシステムも改良の必要はあるだろう。たとえば、世界戦で12ラウンドを戦う場合、明白な優勢で5ラウンドをゲットした選手は、本来ならば互角の範疇に入るような微差を7回積み重ねた相手に負けてしまう計算になる。これは極端な例だが、実際に見た目の印象と異なる結果が出ることがあるのは事実だ。戦う選手やファンの混乱を避ける意味でも、こうした矛盾は極力排除していかなければなるまい。
ボクシングは奥の深いスポーツだが、いつの時代でも決着方法は単純明快であるべきだ。
Written by ボクシングライター原功
「ノニト・ドネアvsウィルフレド・バスケス・ジュニア」2012/2/4
ジャッジ一人の採点表
