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コラム / 海外ボクシングコラムVol.43

24時間で9キロ戻すドネア ~ 減量に関する話 V ~
スピードかパワーか 相手によって選択

これまで4度にわたって展開してきた減量話も最終回。そこで今回は現役のスーパースターたちがどれほどの減量をして、当日はどの程度のリバウンドでリングに上がっているのか、そのあたりを中心に話を進めよう。

近い将来、WBC世界スーパー・バンタム級チャンピオンの西岡利晃(帝拳)との対戦が計画されている3階級制覇チャンピオン、ノニト・ドネア(フィリピン)に今年8月、直接話を聞く機会があった。当時、WBC・WBO世界バンタム級チャンピオンだったドネアの体重は142ポンド(約64.4キロ)。「重いときは145ポンド(約65.3キロ)まで上がるよ」とケロリとしたものだった。バンタム級リミットが118ポンド(約53.5キロ)だから、10月下旬の防衛戦までの2ヵ月半で10キロ以上の減量をした計算になる。

興味深いのは計量後のリバウンドに関する話である。
「これまでの最高は20ポンド(約9キロ)かな。去年12月のウラディミール・シドレンコ(ウクライナ)戦は17ポンド(約7.7キロ)戻したけれど、今年2月のフェルナンド・モンティエル(メキシコ)戦は7ポンド(約3.2キロ)に抑えたんだ。なぜだか分かるかい?シドレンコはスピードはないけれど体力で押し込んでくる選手で、反対にモンティエルはスピードで勝負する選手だからさ。相手のタイプに合わせてリバウンドも考えているんだ」

ちなみにドネアはシドレンコには4回KO勝ち、モンティエルには2回TKO勝ちを収めている。ドネアは135ポンド(約61.2キロ)のライト級まで制覇すると公言しているが、今後の最大の敵は体重ということになるのだろうか。

WBCからミドル級(160ポンド=約72.5キロ以下)"ダイヤモンド・チャンピオン"の名誉を授かっているセルヒオ・マルチネス(アルゼンチン)も、体重の増減が激しい選手として知られる。1年前の話だが、宿敵ポール・ウィリアムス(アメリカ)との試合に向けてトレーニングを開始したころのマルチネスは200ポンド(約90.7キロ)近くあったと伝えられた。それが試合1ヵ月前の定期計量では176ポンド(約79.8キロ)まで減量。さらに10日まで166ポンド(約75.3キロ)まで落とし、試合前日の公式計量では160ポンドのリミット内に納めている。当然、リバウンドも大きく、試合までの24時間で15ポンド(約6.8キロ)以上の増量は当たり前だと言われる。「マラビジャ」(驚異の男)と呼ばれるマルチネスだが、体重の増減もマラビジャなのである。

6階級制覇のマニー・パッキャオ(フィリピン=WBO世界ウェルター級王者)や5階級制覇のフロイド・メイウェザー(アメリカ=WBC世界ウェルター級王者)からマルチネスが対戦を敬遠されるのは、こうした体重の問題が大きいといえる。パッキャオのプロモーターを務めるボブ・アラム氏は、体重の問題についてこう話している。

「フライ級から上げてきたパッキャオはどんなに食べても150ポンド(約68キロ)を超えることはないんだ。そんな選手に、明らかに10キロ以上も重い選手(マルチネス)と戦えというのかね?もし試合をするとしたら当日計量にしないとフェアじゃないよね。それでもパッキャオが勝つと思うけどね」

マルチネスは「パッキャオと戦えるなら2ヵ月で150ポンドまでは落とす」というが、当のパッキャオが「147ポンド(約66.6キロ)以上では戦わない」と断言しているだけに、両雄の対決は難しそうだ。

現代を代表するスーパースター、ドネア、パッキャオ、メイウェザー、マルチネス――。リング上のパフォーマンスだけでなく、彼らの体重、コンディションにも目を向けて試合を見ると、さらにボクシングが崇高で面白いものに感じられるのではないだろうか。


Written by ボクシングライター原功

©NAOKI FUKUDA

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