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コラム / 海外ボクシングコラムVol.33

永遠のチャンピオンベルトを持ったまま夭逝した男たち
大場、サンチェス、バレロ……

120年におよぶ近代ボクシングの歴史上、現役の世界チャンピオンのままリング外の不慮の事故で世を去った選手が数人いる。

古いところでは、1900年代初頭のミドル級、スタンリー・ケッチェル(アメリカ)が有名だ。ケッチェルはスタニスラウス・キーカルという本名を持つポーランド系の選手で、ミドル級でありながら当時のヘビー級王者ジャック・ジョンソン(アメリカ)に挑んだこともある猛者だった。強打とともにプレイボーイとしても知られていたが、10年10月に交際相手の夫からライフルで狙撃され、命を落としている。

その15年後の1925年、フィリピン初の世界チャンピオン、パンチョ・ビラは抜歯が原因で死亡した。ビラは抜歯後にノンタイトル戦に出場したが判定負け。その10日後、フライ級チャンピオンは急死してしまう。抜歯した部分から入ったと思われる毒素が全身に回ったことが死因といわれる。

1973年には日本中に衝撃が走った。1月25日昼、WBA世界フライ級チャンピオンの大場政夫(帝拳)が交通事故で亡くなったと報じられたのだ。運転していたシボレーが首都高速のカーブで反対車線に飛び出し大型トラックと衝突、ほぼ即死と伝えられた。初回に喫した痛烈なダウンを挽回、12回KOで5度目の防衛を果たしてからわずか23日後のことだった。

大場の急死から8年後(1982年8月)、メキシコの英雄サルバドル・サンチェスも交通事故で世を去っている。ポルシェを駆ってトレーニング・キャンプ地に向かう途中、高速道路で先行車を追い越そうとして対向車線の小型トラックと衝突したのだった。のちの世界王者アズマー・ネルソン(ガーナ)との防衛戦から22日後のことだった。スポーツカー、高速道路、試合から約3週間後……大場のケースと類似点が多い。

昨年4月には27戦全KO勝ちのハードパンチャー、WBC世界ライト級チャンピオン、エドウィン・バレロ(ベネズエラ)が不慮の突然死を遂げている。宿泊先のホテルの部屋で妻を刺殺、その直後に自死を遂げたと報じられたが、遺族が再検証を求めるなど、その死はいまもって謎が多い。

ケッチェル=60戦51勝(48KO)4敗4分1無効試合、享年24歳。
ビラ=91戦80勝(23KO)5敗3分3無効試合、享年23歳。
大場=38戦35勝(16KO)2敗1分。享年23歳。
サンチェス=46戦44勝(32KO)1敗1分。享年23歳。
バレロ=27戦全勝(27KO)。享年28歳。

いずれも多くの可能性を残した20代での夭逝だっただけに、なおさら惜しまれるところである。彼らが現役を続けていたら、はたしてボクシングの歴史はどう変わっていたのだろうか……。

   

Written by ボクシングライター原功

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