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コラム / 海外ボクシングコラムVol.09

スピード出世――世界記録は「3戦」で戴冠

5戦全勝(3KO)のライト・フライ級ホープ、井岡一翔(井岡)が7戦以内の王座獲得を狙って年内にも世界挑戦かと話題になっている。6戦目あるいは7戦目で世界王座獲得となると、辰吉丈一郎(大阪帝拳)、名城信男(六島)の「8戦」を更新するスピード出世の日本記録となる。ところが、世界は広く歴史は長い。かつてプロ3戦目で世界王座を獲得した怪物がいたのである。

中高年のボクシングファンのなかには、センサク・ムアンスリン(タイ)という選手を記憶している人は多いのではないだろうか。70年代に2度、日本でも世界王座の防衛戦を行ったことがあるスーパー・ライト級のチャンピオンである。特に2階級制覇を狙ったガッツ石松を6回KOに退けた試合は強烈な印象を残したものだった。

このセンサクこそがプロ3戦目で世界王座獲得という離れ業を成し遂げた怪物である。センサクはムエタイ(キックボクシング)で59勝(55KO)9敗の戦績を残し、24歳で国際式ボクシングに転向。初陣でいきなり世界ランカーに1回KO勝ちを収めると、2戦目では2度の世界挑戦経験を持つ日本のライオン古山にも7回TKO勝ち。そして3戦目で世界王者に8回TKO勝ち、堂々の戴冠を果たしたのである。世界一になるまでに要した年月は8ヵ月、ラウンド数は3試合で計16ラウンド。ただただ驚くしかない。しかも、このあと通算8度の防衛を収め、しっかりと実力を証明してもいる。

歴代2位のスピード出世記録保持者もタイ人だ。辰吉や長谷川穂積らとの激闘で知られるバンタム級のウィラポン・ナコンルアンプロモーションである。ムエタイで100戦以上を経験し3階級制覇を成し遂げたウィラポンは、国際式転向後9ヵ月、わずか4戦目で世界王座を獲得。しかし、初防衛戦で惨敗。以後、辰吉に勝って返り咲くまで3年近い年月を要した。

ムエタイが下地になっているタイではこの他、ライト・フライ級のムアンチャイ・キティカセムが7戦目、フライ級のソット・チタラダが8戦目、スーパー・フライ級のパヤオ・プーンタラットとミニマム級のナパ・キャットワンチャイが9戦目で世界王座を獲得している。

また、現役ではWBAライト・ヘビー級王者ベイブト・シュメノフ(カザフスタン)が10戦目で王座獲得を果たしており、スピード出世のトップの座をキープ。WBAスーパー・フェザー級王者の内山高志(ワタナベ)が14戦目で2位、そしてWBAフェザー級王者ユリオルキス・ガンボア(キューバ/アメリカ)が15戦目で続いている。

「記録は破られるためにある」というが、はたしてセンサクの3戦を上回る2戦目、あるいはデビュー戦で戴冠を果たす選手が、いつの日か出現するのだろうか。


Written by ボクシングライター原功

写真:WBA世界ライト・ヘビー級王者
ベイブト・シュメノフ(カザフスタン)

©NAOKI FUKUDA

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