25th

WOWOW

PC版

ご加入はこちら

浜田剛史の世界トップ選手ウォッチ

※My番組登録はこちらから

ボクシング専門誌「ボクシング・ビート」(毎月15日発売)で連載中の「浜田剛史の世界トップ選手ウォッチ」を掲載!
浜田さんの選手分析を読んでから実際の試合をチェックすると、ボクシングの楽しみ方がますます広がります!

ディミトリ・ピログ
DMITRY PIROG
(WBO世界ミドル級王者)

相手の左に即反応して右クロス
突然脚光浴びたロシアの強豪


2010年ボクシング・ビート
10月号掲載

ディミトリ・ピログ

7月、ラスベガスで本命視されたダニエル・ジェイコブスを5回一撃で沈め、マルティネスが剥奪され空位となっていたWBO世界ミドル級王座を獲得。衝撃の米国デビュー戦となった。ロシア出身、30歳。アマチュアで230戦し、2005年プロ転向。17戦14KO不敗。


ロシアのアマチュアのキャリアが豊富な選手というと、例えばユーリのような基本に忠実なボクサー、サーシャのような柔らかくて、パンチはないけれどもやりにくいアウトボクサー。ナザロフみたいな基本のしっかりしたサウスポー、といったところからすると、このピログはちょっと違うところがありますね。


上背は185ぐらいでしょうか。体の柔軟性がある選手で、スタイルは、前に前にと出て、スムーズに手を出す右のボクサー・ファイターです。決して強引な入り方ではなくて、ゆったりしたというか、違和感なしに前に前に出て手を出す。


そして、体にパワーがありますね。パンチは狙って打つというよりも、ポンポン、ごく自然に手を出す。前に出ながら、相手のパンチを殺したり、ブロックしたり。そのブロックをする際には、手は結構動くんですね。アーム・ブロックしたり、肩でブロックしたり、ガードを上げたりしてよけながら、前に前に出てプレッシャーをかけながら攻める。


得意とするのは、相手が左ジャブ打ってきたと同時に、上から右クロスをかぶせる。これが1つのリズムになっていますね。このかぶせ方も、相手が左を出したら、スムーズに打つと。これがうまく合わなかったら合わないで、またポンポン手を出していくと。狙うのではなく、からだが自然に動く。これ、1ラウンドからやっていますからね。


普通1ラウンドは、相手のスタイルが分かっているにしても、パンチがどれぐらいの強さか調べてから打つものです。例えば高橋直人なんかは、よけてから打ったものですが、ピログは相打ちでもかまわず打つ。相手が打ってきたらそのまま打ちますからね。よけてから打つのは相手に打たせないからいいんですが、ピログの場合は相打ちになる場合もあります。1つの攻めるパターンのリズムになっています。決して強振しているわけではないんです、あれは。


長身であっても、長い距離からというよりも、打ちながら、くっついて戦うというパターンが多いので、スピードのある選手でも、離れて距離をとろうという選手でも、結構距離を詰められるところがある。かといってファイターではない。相手にすると、とらえどころがない。


スピードがあって、パンチが速く、切れもあって、相手のスピードを殺すうまさを持っている。体が柔らかい分、相手のパンチを体のどこかに当てさせながら、全部吸収するんですね。相手からすると、当たっているけれど、手ごたえがない。打っても、打っても、自分のパンチが吸い込まれてしまうようで、やりにくい。


前に出る時は、左を出しながら出る。それも、速い左、長い左というよりも、パワーもあるし体も柔らかいので、リキまないで打てる。相手はなおさら読みにくい。


ジェイコブスを倒した右はたまたまタイミングが合ってワンパンチで倒しましたけど、あのスタイルからすると、数多く打ちますね。決まったコンビネーションというのは、ない。なんでもいいから、必要なパンチを必要な時に打っていくと。あのスタイル、あの打ち方だと、極端なスタミナ切れもないでしょう。


プロ5年で17戦ですか、強いて上げれば、プロモーターに恵まれていなかったのかもしれません。隠れたところにいてようやく陽の当たる場所に出てきたという感じがします。


今後についても、可能性を十分に持った選手。ボクシングに派手さはないですけど、力を持った選手、派手な選手に結果的には勝っていたというパターンが考えられますね。人気がでるどうかは別ですが、まだ30歳、これから本領を発揮するところがあるでしょうね。


打たれてどうか。スタートからああいう戦法をとるということは、まともに食わないという自信を持った選手ですよね。相手にとっては、前に出てくるけれど、打っても手ごたえがない、カウンターになるけど、手ごたえがない、吸い込まれてしまうという感じがするでしょうね。


まともに打たせないし、体力はあるし、それで、打たせない自信を持っているから、あれだけ出て行けるんですね。打たれたらどうかという心配があったら、ああいうやり方はできない、打たれ強いといっていいでしょう、この選手は。ま、体も大きいし、スーパー・ミドルにでも上がるとまた、面白くなるでしょうね。


ボクシング・ビート2010年10月号より

※番組の選手表記と一部異なる場合がありますが「ボクシング・ビート」誌の掲載内容をそのまま掲載しておりますので、ご了承ください。

「ボクシング・ビート」連載中 世界トップ選手ウォッチ
新着記事

バックナンバー
2017を開く▼

バックナンバー
2016を開く▼

バックナンバー
2015を開く▼

バックナンバー
2014を開く▼

バックナンバー
2013を開く▼

バックナンバー
2012を開く▼

バックナンバー
2011を開く▼

バックナンバー
2010を開く▼

バックナンバー
2009を開く▼

RING JAPAN
日本ボクシングコミッション
TEIKEN.com
NAOPIX Fight Gallery by Naoki Fukuda
マイ番組登録をしよう!
ご加入はこちら
マイ番組登録をしよう!