映画

西鶴一代女

数奇な運命に翻弄され、流転の人生をたどるひとりの女性の姿を巨匠・溝口健二監督が流麗な映像美で鮮烈に描写。田中絹代も一世一代の名演を披露し、世界を驚嘆させた傑作。

溝口監督が、宿願の企画だった井原西鶴の「好色一代女」の映画化を本作でついに実現。溝口映画きっての名ヒロイン田中絹代が、京の御所勤めを振り出しに、松平家の側室、島原のおいらん、住み込みの奉公人、町人の妻、そしてついには夜鷹へと波瀾万丈の人生をたどるヒロインお春に扮して、鬼気迫る熱演を披露。第13回ヴェネチア国際映画祭で国際賞（監督賞）に輝いて、世界にミゾグチの名と才能を初めて広く知らしめ、後にジャック・リヴェット監督は、本作に深い影響を受けて「修道女」を生み出すこととなった。