映画

海を感じる時

出会いは高校の新聞部。キスを求めながら自分を拒絶する先輩に、それでも愛をささげる少女の揺れる心を綴る。市川由衣が体当たりの熱演を見せた恋愛ドラマ。池松壮亮共演。

1978年当時、18歳で第21回群像新人賞を受賞した中沢けいのベストセラーを、荒井晴彦脚本、安藤尋監督で映画化。主演の市川はこれまでのイメージを変えるような大胆なラブシーンを冒頭から披露し、少女から女へと変化していく主人公の恵美子をセクシーに演じている。そんな彼女に翻弄されながらも少しずつ気持ちが揺れ動いていく洋を演じた池松の繊細さが、恵美子の性（さが）をさらに浮き彫りにさせる。実家へ戻った恵美子が雨戸を開け、海に向かって歩く題名通りの場面を演じる市川の美しさが特に印象的だ。