映画

ヴィンセント

後のヒットメーカーにして鬼才のＴ・バートン監督（「シザーハンズ」）。彼が無名時代に初監督した、ダークなタッチだがみずみずしい、モノクロ人形アニメーションの短編。

1985年の「ピーウィーの大冒険」、その3年後の「ビートルジュース」で注目され、1989年の「バットマン」でハリウッドのヒットメーカーに仲間入りしたバートンが、先がける1982年に放った初監督作。往年の怪奇映画スター、ヴィンセント・プライス（本作でナレーションを担当）のファンであるバートン監督が、彼と同じ名前である主人公の少年ヴィンセントの世界を描写。既に独自のビジュアルセンスを確立していた事実に驚かされるが、自身と主人公をダブらせた、大胆でユニークな作家性にこそ注目したい。