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  パトリス・ルコント Patrice Leconte
「親密すぎるうちあけ話」
 
  + アンナがどんどんまぶしく見えていくには、監督はどのような工夫をされたのでしょうか?

パトリス・ルコント(以下P):この作品は、1時間30分ちょっとの間、ずっとストーリーの展開を語っています。展開というのは、主としてアンナとウィリアムの関係においてですが、最初アンナは全く自身で心地よく感じておらず、不安定で、暗く、また醜くもあります。しかし物語が展開するにつれ、彼女は光の方向へと進み、輝き始め、身につけるものすら軽くなり、自分自身にくつろぎを感じるようになり、そしてだんだん彼女は美しくなります。しかし、この展開を表現しているのは勿論まずは女優自身の努力であって、それから撮る手法があって、いかに女優を輝かせて、より美しく撮れるのか、いかに目に見えるようにこの展開を表現するかがあります。


+ 監督は脚本を書いてから俳優を選ぶと聞いたのですが、仕事をしたい俳優を選んでから脚本を書き上げるという事はありますか?

P:はい。私は幾つかの作品をどの俳優と仕事をしたいからという発想でも作り上げました。例えば私の作品で『列車に乗った男』というのがありますが、これは最初物語すら何もありませんでした。しかし私がジョニー・ハリデーとジャン・ロシュフォードと仕事をしたいという事だけ明確でした。俳優というのは物語を作る上で良いインスピレーションになる事もあります。でも時と場合によりますね。いずれにしても今回の作品においては、先にアンナとウィリアムのスクリプトがあって、それが完成した後に、では誰がアンナで誰がウィリアムを演じるのかを考えました。


+ 監督の作品に出てくる女性は、露出が多いわけではないけれど…監督自身女性のどういったところに魅力を感じますか?

P:女性の中で何処が魅力的で、官能的で、エロティシズムを感じるのか詳細にリストにするのは非常に難しいと思います。難しいというのは、それは女性のシルエットかもしれないし、歩き方かもしれない。人によっては女性が振り返る時、もう1人にとっては声だったり、胸だったり、わからないです。またそれは時と共に変わり行くものです。また私が好きなのはまず胸で、口で、それから首で…といったようにヒットパレードをさせるのは、過小評価する事だと思います。私は女性のエロティズムに関して厳密なコードや規定があると思っていません。それは映画では勿論、日常の中でもです。これは主観的で、とても移り変わりやすいテーマだと思います。


+ 監督は女性に対しての定義はありますか? 監督にとって女性とは?

P:そんな事を私に2分で話せというのですか(笑)!? 女性のいない世界というのはどの道生きるに足りない世界だと思います。例え恋愛感情があろうがなかろうが、女性との接触は少なくとも私にとっては最も自身の均衡を保たせてくれます。いつでも女性が均衡を保たしてくれ、それは決して男性にはできない事です。それから、語るのに2分しかないというならば、女性はとてもミステリアスな生き物です。女性特有の深い神秘性が存在すると思います。私自身この神秘性のある女性は好きです。少しも神秘性を感じられない女性に恋する事の方が難しいですね。2分間で答えられる事はこれくらいです。


+ ウィリアム役にはどんな想いを込めて演出されましたか? どの様に監督はこのウィリアムという人物を描かれたのですか?

P:(ちょっと迷ってから・・・)勿論、基本的にウィリアムは一人前の大人ですが、アンナが彼の人生に入ってきた途端、正確に言えば、彼女が彼の事務所に入ってきた途端、彼は非常に惑わされます。その女性に惑わされ、そして迷います。まるで迷える子供にでも戻ったようにしかしそれは私がウィリアム役であるファブリス・ルキーニに言った事で、アンナが現れた途端、君は目印を失い、何をしたら良いのか、何を発言したら良いのかわからなくなるんだ。君は道に迷った子供のようになるんだと。これは彼にとってとてもふさわしかった指示だったらしく、彼はその通りに演じてくれました。


+ セラピーというのは日本でまだ馴染みがないのですが、欧米では良くある事ですか?

P:日常でという事ですか? いえ、何処でもそうある事ではないでしょう。と言うのは、この映画の中にあるような秘密の精神療法とでも言いましょうか、それはアンナがたまたま話す良き相手を見つけたというだけで、それも全く想像の世界であって、私の周りの近しい友人を見ても誰一人回復の為に話しに行っている人を知りません。でも確かにフランスであろうがどこであろうが、人々は物事が上手く行かないと精神科医に行く傾向にはありますが、それは非常に残念な事で、この映画が示そうとしているように多くの場合は、話せるようになる事、人の話を聞いてあげる事、つまりは自分以外の人にも関心を持つだけで解決したりする。でも残念な事に今日は誰も他人に関心を持たなくなっている。恐ろしい事です。


+ 恋愛映画の魅力とは? 作り手の視点と、観客の視点でお答え頂けますか?

P:申し訳ないです。あなたの質問にお答えしたいけれど、私にはできません。あなたは色々私の心に触る事を言って下さるのだけれど、あなたは今私にいずれにしても定義し得ないものを定義してほしいと言っています。“魅力”ほどこの世で定義のできない言葉はありません。残念ながら私はそれに答えるには無力であり、この事については申し訳なく思います。大体、魅力というのはとてもはかないもので、例えばあなた自身人生の中でとても魅力的な男性、女性でも良いので出会ったとします。あなたにとってはとても魅力的で、でも何故あなたがその人物に魅かれるかを言葉で分析しようとすると、まず言葉に定義するのは非常に難しく、それからもしあなたが正確な言葉にして定義にその魅力を当て込む事ができるのならば、魅力は消えてしまいます。魅力とは神秘的でなければならないのです。


+ 監督にとって心を満たすもの、幸せにするものは何ですか?
(※通訳は魅了されるものという言葉を使用。)

P:私を魅了し、生きる糧を与えてくれるものは、私の心を少しだけ強く打ってくれる、全ての要素、全ての状況、全ての出会い、全ての感情です。それはあらゆる事なのですが、例えばセーヌ川にかかる絶妙な輝きだったり、私の2歳になる孫娘が何か面白い事をやっている時だったり、私の心を動転させる女性との出会いだったり、私の心をときめかせてくれる全てのものです。


+ 苦しい時に誰かの存在、または言葉に救われた時はありますか?

P:救われたと言えば、確かに何度も救われた事はあります。しかし、これは私がいつも克服しようとしているのですが、私の性格は全てを自身の中に閉じ込めて、自分の事で人を煩わせたくないと思ってしまう傾向にあります。勿論映画を制作している時は別です。しかしながら、全てを自分に蓄積していると、時々それがすごく重くなってくる事もあります。私が救われた時と言うのならば、私がやっと言葉を発した時、心を開いた時、自分の中にため込むのをやめた時です。そして、人はそれをやらなくてはいけないのです。1人でため込む事は良くない事です。


+ 昔アニメライターだったとお伺いしましたが、この作品の絵コンテを描いて頂く事は可能でしょうか?

P:何でも描いてあげたい気持ちはあるのですが、私はコミックを描いていたので、現実的な事を描いた事はありません。だから、ここで映画の1シーンを描く事は不可能ですし、だいたい私は映画の絵コンテというものを描いた事は今までに一度もありません。


+ 日本の印象を絵にして頂く事はできますか?

P:ここで? それは大仕事だなー。君達に時間はあるの?(絵を描き終わり)これは東京を現しています。高層ビルが立ちそびえていて、車が沢山あって、人々があちらこちら走りまわっています。私はその真ん中で助けを求めています。と言うのも私も日本人になってしまいそうだからです。ごめんなさいね。


+ 視聴者に一言頂けますか?

P:この絵からもご理解頂けるように、私が心から好きな日本の皆さんは、私が日本に来る度に皆さんが忙しそうな印象を受けます。だから私は日本の皆様に申し上げたいのですが、そんなに先を急ぎ過ぎないで下さい。もう少し時間をかけて生きて下さい。私は『親密すぎるうちあけ話』という作品の監督でパトリス・ルコントと申します。この作品は6月に公開致しますが、沢山の方々が見てくださることを祈っています。



 
  © Les Films Alain Sarde/WISEPOLICY
 
 
  © Les Films Alain Sarde/WISEPOLICY

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