インド洋に浮かぶ“光り輝く島”を鉄道で巡る新風景。
26年間続いた内戦が2009年に終結。スリランカは現在、ニューヨークタイムズ紙にも“世界で訪れるべき観光地ナンバー1”に選ばれた、世界屈指のリゾートアイランドとして再び煌めきを放っています。海のシルクロードの拠点として栄えた“光り輝く島”は、今なお美しい街並みと自然にあふれています。中心都市コロンボから、インド洋と紅茶畑の絶景路線を抜け、世界遺産の仏教史跡へ。海岸や高原をのんびりと走る鉄道に乗り、スリランカの魅力を余すことなくご紹介します。
PART1
コロンボ〜ゴール〜ヌワラ・エリヤ〜バドゥッラ
16世紀にポルトガルが砦を築いた時から、コロンボの中心地として発展してきたフォート地区は、現在もスリランカの経済を牽引する金融と商業の心臓部。官庁や銀行などが集中する一帯には、植民地時代の香りをまとったコロニアル様式の建物が多く点在しています。灯台として1938年から建つ時計塔に象徴されるように、ここはスリランカの海の玄関口でもありました。
フォート地区と運河を隔て隣り合うペター地区は、活気あふれる一大商業地区。17世紀にスリランカを統治したオランダ人が開拓したエリアです。貿易商が暮らした一帯は、後にスパイス問屋などが軒を連ねる、市場の賑わいに包まれた庶民の町になりました。さまざまな人種が行き交う町中では、かつては呪術師であり医者でもあった蛇使いの姿も見受けられます。
インド洋の海岸線沿いを走るゴール・ロードは、心地よい風が吹き抜けるコロンボの目抜き通り。宝石店や土産物屋、お洒落なレストランが軒を連ねる旅行者にも人気のエリアです。ラブ・アンブレラと呼ばれる、相合傘でデートするカップルが多く見られるビーチサイドは、真っ赤に染まる太陽が水平線に沈む夕暮れ時が特に感動的です。
熱帯の自然を融合させた、優美で開放的な空間を次々に生み出していったジェフリー・バワは、トロピカル建築の先駆者として名高いコロンボ出身の建築家です。母国の宝石のようにスリランカ各地で輝き続けるバワ作品のひとつが、かつてバワのオフィスがあった「パラダイス・ロード・ザ・ギャラリー・カフェ」。入口にはバワの頭像や愛用のデスクが飾られたハイセンスなカフェで、系列ショップの生活雑貨は土産物として大変人気です。
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車窓に広がる黄金海岸の先にあるゴールは、植民地時代に開拓された街並みがそのままに残る世界遺産の街です。古くから天然の良港であったゴールは、16世紀以降ポルトガル人によって砦が築かれ、オランダ人によって堅牢な城塞都市になりました。低いところでも6mの高さがある城壁は、古い街並みを長年に渡り高潮や津波から守り続けてきました。
植民地時代の建物に展示されているのは、スリランカの伝統産業を紹介する品々。回廊では宝石のカッティングやボビンレースの実演を見ることができます。世界で採れる85種の宝石のうち40種が産出されるというスリランカの宝石は、古代より名品として知られています。16世紀にヨーロッパで流行したボビンレースはオランダによって伝えられ、スリランカの伝統工芸になりました。
ゴール近郊にあるバワの晩年の作品、ジェットウィング ライトハウスは、起伏のある海岸沿いの立地を存分に活かし設計されたリゾートホテルです。ロビーの先に断崖絶壁が広がる眺めは抜群。らせん階段の手すりにはゴールの歴史を物語る彫刻がびっしりと施されているなど、細部にわたりバワ建築の魅力をたっぷりと味わえる空間です。
古代インド発祥の伝統施術アーユルヴェーダとは、古代インドの言葉で「生命の科学」という意味。生活習慣を改善して自然の治癒力を高めるアーユルヴェーダでは、ヨガや食事療法などさまざまな指導がありますが、代表的な施術がシロダーラ。温かいオイルを額に垂らして脳のストレスを和らげ、心身を回復させていきます。スリランカでは数日間ホテルに滞在しアーユルヴェーダを体験する、新しいリゾートも人気となっています。
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紅茶を積み出すために建設された路線で行くヌワラ・エリヤは、紅茶の一大産地として発展した標高約1800mの高原リゾート。未開の土地に19世紀初頭、イギリス人が入植し、紅茶で得た富により母国イギリスを彷彿とさせる建築物が次々に築かれた、別名リトル・イングランドです。昼夜の温度差が15度もあるこの地で採れる茶葉は、国内で最高ランクと言われています。
19世紀の産業革命により、仕事を求めスリランカに移住した人々が、ヌアラ・エリヤで紅茶農園を作り大成功を収めました。その茶畑の農園主たちが集う社交場であったのが、今では優雅なリゾートホテルとなったヒルクラブです。スリランカを訪れた女王エリザベス2世も、ここヒルクラブに立ち寄ったとか。1876年建造の重厚な石造りの館です。
イギリスらしい町並みとともに、農園主がこの地に根付かせたのが、1日に何度も楽しむお茶の習慣です。スリランカではアフタヌーンティーではなく、ハイティーと呼ばれる紅茶の時間に欠かせないのが、ティースタンドで運ばれてくるスコーンなどの伝統菓子やサンドイッチ。紅茶の香りと甘いスイーツに囲まれて、優雅なひとときを満喫できます。
ヌワラ・エリヤの丘陵地帯にはセイロンティーの茶畑が広がり、のどかな茶摘みの様子が間近にできます。また点在するほとんどの製茶工場で紅茶づくりの工程が見学でき、紅茶の試飲などが楽しめます。工場内ではもちろん土産用としても紅茶が販売されています。
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茶畑や高原野菜の畑など変化に富んだ風景が広がる絶景路線の終着駅がバドゥッラ。標高680mのこの地は、イギリスの植民地時代から紅茶の集積地として栄えてきた山間ののどかな町です。川の畔では水浴びを楽しむ子どもたちや洗濯をする女性たちが見られ、人々の日常が広がっています。バドゥッラはまた信仰の聖地としても有名で、紀元前5世紀に釈迦が伝道のため、ここを訪れたと言われています。
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