情熱の国の魅力を再発見する、イベリア半島鉄道の旅。

スペイン大紀行

サッカーの最高峰リーガ・エスパニョーラでも知られる情熱の国スペイン!初取材の高速列車ユーロメッドを始め、AVEやアルコ、アルビア、アルタリアを乗り継ぎ、イベリア半島を6回に渡って縦横断。芸術の街バルセロナからバレンシアへ。そしてスペイン最盛期の栄華を体感できる古都を巡り、首都マドリードから、ラ・マンチャ、アンダルシアへと駆け抜けます。世界遺産、音楽、踊り、食…スペインの魅力を満喫する鉄道大紀行です。

[PART6]カトリックの聖地を目指して レオン〜オビエド〜ア・コルーニャ〜サンティアゴ・デ・コンポステーラ オビエド ア・コルーニャ サンティアゴ・デ・コンポステーラ

[PART6]カトリックの聖地を目指して

オビエド 幾多の戦闘の舞台となった、アストゥリアス王国の首都。
ナランコ山の2つの教会

オビエド郊外にあるナランコ山の中腹に、「オビエドとアストゥリアス王国の建築物」として登録されている世界遺産の教会が2つあります。サンタ・マリア・デル・ナランコ教会とサン・ミゲル・デ・リーリョ教会で、どちらの教も800年代に建てられた美しい建造物です。また、サンタ・マリア・デル・ナランコ教会はアストゥリアス王の離宮施設の一部(謁見の間)だったものを聖堂にしたと言われています。

サンタ・マリア・デル・ナランコ教会
サンタ・マリア・デル・ナランコ教会
夏の離宮として建てられた
夏の離宮として建てられた
サン・ミゲル・デ・リーリョ教会
サン・ミゲル・デ・リーリョ教会
サン・サルバドル大聖堂(オビエド大聖堂)

旧市街にある大聖堂は、正式名称をサン・サルバドル大聖堂と言い、9世紀にアストゥリアス王アルフォンソ2世が、トレドから運び出した聖遺物を納めるための建物カマラ・サンタ(聖なる部屋)を建造したのが元となっています。その後、アストゥリアス革命とスペインの内戦で破壊され、現在の姿は内戦後に再建されたものとなっています。カマラ・サンタは1998年に「オビエドとアストゥリアス王国の建築物」の名称で世界文化遺産に登録されています。

サンサルバドル大聖堂
サンサルバドル大聖堂
鐘楼
鐘楼
中央のポータル
中央のポータル
オビエド市街地

アストゥリアス王国の都であり、スペインのレコンキスタ(国土回復運動)の拠点となったオビエド。その後、幾多の戦いを経て、荒廃を余儀なくされたオビエドには、古い町並みはあまり残されていませんが、こじんまりとした街中には歴史の面影が幾つも残されています。リンゴの産地であることから、シードラが名産品。散策の後には味わってみたい一品です。

オビエド市街地
オビエド市街地
りんごの収穫
りんごの収穫
空気を含ませながらシードルをつぐ
空気を含ませながらシードルをつぐ
ア・コルーニャ 新鮮な魚介に恵まれる、ガリシア地方を代表する都市
マリーナ大通り

海に面し、近くに美しいヨットが停泊するマリーナのあるこの通りは、立ち並ぶ建物の高さがほとんど同じで、どれも同じように正面が白い窓枠のくっきりしたガラス張りになっています。とくに港から眺めると、反射するガラス窓が印象的。ここから、ラ・コルーニャは「ガラスの街」(Ciudad de Cristal)と呼ばれるようになりました。

港からマリーナ大通りを望む
港からマリーナ大通りを望む
白枠の窓ガラスが美しい
白枠の窓ガラスが美しい
ヨットハーバー
ヨットハーバー
ヘラクレスの塔

大西洋に囲まれた半島の丘に建つ高さ59mのこの塔は、2009年に世界遺産に登録されました。ローマ時代に作られた、現存する世界最古のこの灯台は、18世紀の改築を経て今でも現役の灯台として利用されています。塔の土台には、ラテン語で碑文の記された礎石が残されており、その内容から、元々の塔がローマ神話の神マールスに奉納物として捧げられたものであることが分かります。

ヘラクレスの塔
ヘラクレスの塔
灯台として今も利用されている
灯台として今も利用されている
北大西洋が一望できる
北大西洋が一望できる
サン・アントン城

サンティアゴ教会と共に、ア・コルーニャ旧市街を代表する歴史的建造物が、半島の南端にあるサン・アントン城です。この城塞は16世紀にカルロス1世がこの地に香辛料の通商院を設立し、施設の防衛のために建てられたものです。ア・コルーニャは16世紀にイギリスの攻撃を受けましたが、女性ながらイギリス海軍と果敢に戦い町を守ったマリア・ピエタは、今でもア・コルーニャの人々に尊敬されています。

サンチャゴ教会
サンチャゴ教会
サン・アントン城
サン・アントン城
半島の先端に位置する
半島の先端に位置する
市場とバル

ア・コルーニャは海に突き出た半島を擁する港町。朝8時頃に東埠頭に行くと、ガリシア名物の魚介を山ほど積んだかごを、頭に乗せて歩いている人々を見ることができます。また、新鮮な素材を仕入れることができるバルでは、ガリシア地方ならではの、グルメをうならせる海の幸のメニューが堪能できます。

さまざまな魚介が並ぶ
さまざまな魚介が並ぶ
市場の風景
市場の風景
巻貝
巻貝
サンティアゴ・デ・コンポステーラ 聖ヤコブが眠る、巡礼路の終着地。
サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂

エルサレム、バチカンと並んで、キリスト教の三大巡礼地の一つであり、世界遺産にも登録されている「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」の終着地でもあるこの街。美しいオブラドイロ広場に聳え立つ大聖堂には、12使徒の一人である聖ヤコブの霊廟があり、世界中からの巡礼者が訪れます。巨匠マテオが手掛けた正面の「栄光の門」には黙示録を現した数百もの彫像が彫られ、内部の柱は幾千万の巡礼者が手を押し当てたことでくぼみができています。

広場に立つ大聖堂
広場に立つ大聖堂
長い旅路を終えて
長い旅路を終えて
中央祭壇
中央祭壇
歓喜の丘・免罪の門

大聖堂の5km手前にあるモンテ・デ・ゴッソ(歓喜の丘)。長い旅路を来た巡礼者たちは、ここに到着してはじめ、美しいサンティアゴ大聖堂の姿を眼にし、感激したと言われています。また、大聖堂の裏側にあるキンターナ広場に面しているのが免罪の門。7月25日の「聖ヤコブの日」が日曜日に重なる「聖ヤコブの年」にだけ門が開きます。この年に巡礼し、開かれたこの門をくぐれば、全ての罪を許されると言われており、去る2010年にも多くの巡礼者が訪れました。

歓喜の丘から大聖堂を望む
歓喜の丘から大聖堂を望む
丘に立つモニュメント
丘に立つモニュメント
免罪の門
免罪の門
フィステーラ岬

大聖堂への巡礼を済ませた後、国に戻る前に多くの巡礼者たちが訪れるのが“最果ての地”とも呼ばれるフィステーラ岬。新大陸が発見されていない中世においては、この浜辺がこの世の果てでした。巡礼者たちはここで着ていた衣類や靴を燃やし、生まれ変わった心と体で自国への帰途についたと言われます。大西洋に沈む夕日の美しさは例えようもなく、まさに地の果てに来たという感覚と、自然への畏怖を感じさせます。

最果ての地
最果ての地
沈む夕日
沈む夕日
しばし時を忘れる
しばし時を忘れる