統一150周年に沸くイタリアを、北から南まで周遊。

統一イタリアの大地を行く

これまで番組が3度訪れたイタリアですが、今回は北部の定番コースだけでなく、初めて南イタリアやシチリア島、アドリア海沿岸まで、全土をじっくりと巡ります。2009年に専用路線が完成した高速鉄道アルタ・ヴェロチタや、列車ごと運べるフェリーなど、鉄道ファンの見どころ満載。統一の足跡をたどりながら、各地方の特色ある文化とその魅力をお届けします。

PART2 ナポリよりシチリアへ向かって ナポリ~メッシーナ~エトナ山~カターニア~パレルモナポリメッシーナパレルモエトナ山カターニア

PART2 ナポリよりシチリアへ向かって ナポリ~メッシーナ~エトナ山~カターニア~パレルモ

ナポリ 海と火山に臨む風光明媚な都市
王宮

スペイン統治期の1600年代に建設された、ナポリ王の宮殿。フェリペ3世の居城として建てられましたが、彼がここに来ることは1度もなく、その後ナポリを支配したブルボン家やサヴォイア家の歴代王が使用しました。内部は王家の華麗な生活を垣間見ることができる他、サンカルロ劇場や国立ヴィットリオ・エマヌエーレ3世図書館などがあります。

王宮
王宮
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世像
ヴィットリオ・エマヌエーレ2世像
ヌオーヴォ城

13世紀にシチリア王国を興したアンジュー家の城で、15世紀にアラゴン家が再建しました。5つの円筒形の塔と城壁に囲まれた外観は、いかにも防御性が高く重厚。正面右の2塔の間は大理石のレリーフを施した凱旋門になっていて、ルネッサンス様式の傑作といわれています。内部は14~15世紀の美術品や15~20世紀の銀器、地下の遺構などが見学できる市立博物館です。

ヌオーヴォ城
ヌオーヴォ城
ピエトラルサ国立鉄道博物館

イタリア鉄道発祥の地であるナポリ。国家統一よりはるか前の1839年、スペイン・ブルボン家のフェルディナンド2世によって敷設されました。この博物館は当時の車両工場を転用したもので、3万6000平方メートルもの敷地に各時代の車両がずらりと並び、イタリア鉄道史をつぶさにたどることができます。特に26台ものSLが見られる専用展示棟は壮観。イタリア第1号機関車「ベイヤード号」のレプリカもあります。

鉄道博物館
鉄道博物館
貴重な機関車を静態保存
貴重な機関車を静態保存
歴代のイタリア国鉄の模型
歴代のイタリア国鉄の模型
フニコラーレ

フニコラーレは、ナポリで便利な足となってくれるケーブルカーのこと。最初に敷設されたのは1880年、ヴェスヴィオ火山の観光用でした。その宣伝用に作られた民謡、「フニクリ・フニクラ」はあまりにも有名です。今は市内で4路線が活躍しており、どれも10数分の乗車時間ですが、丘の多い街では大助かりの 乗り物です。

フニコラーレ
フニコラーレ
メッシーナ シチリア島の玄関口となる港街
メッシーナ海峡フェリー

ナポリから約5時間。イタリア半島のつま先ヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅に着いたインテルシティは、2~3両ずつ切り離してフェリーに積み込まれます。約15分の航海でシチリア島へ。そこで再び連結され、メッシーナ中央駅へ向かいます。海峡は最短距離で3kmしかなく、2016年までに橋を架ける計画があります。船ごと運ぶ大らかなフェリーは、残念ながら廃止される可能性もあるそうです。

フェリー
フェリー
フェリーに積み込まれるインテルシティ
フェリーに積み込まれるインテルシティ
シチリア島
シチリア島
メッシーナ大聖堂

神聖ローマ皇帝コンラート4世が埋葬されている教会。オリジナルは12世紀に建設されましたが、1908年の大地震、1943年には第二次世界大戦の空爆で倒壊し、再建されました。ただし中央の出入り口は15世紀初頭のもので、ゴシック様式の貴重な装飾が残っています。正午には鐘楼のからくり時計がアヴェ・マリアを奏で、人形たちがメッシーナの聖女マリアの物語を見せてくれます。

メッシーナ大聖堂
メッシーナ大聖堂
鐘楼のからくり時計
鐘楼のからくり時計
ネプチューンの噴水

怪物を従えた海の神は、港街にとって大事な意味があります。昔むかし、メッシーナ海峡はシッラという怪物とカリッディという渦潮が暴れ、安全な航海を阻んでいました。これを鎮めるネプチューンを、人々は古くから崇めてきたのです。海辺に立って荒波を鎮めるポーズには、市民の願いが込められているのでしょう。この像はレプリカで、本物は州立博物館に大切に保存されているそうです。

ネプチューンの噴水
ネプチューンの噴水
悶絶する怪物
悶絶する怪物
エトナ山 シチリア最高峰を中心とした島の東部
エトナ山周遊鉄道

シチリア島の東、ヨーロッパ最大の活火山は標高3,326m。エトナ山周遊鉄道は小さなジャッレ・リポスト駅を出発し、山をぐるりと一周します。全長は113km、時速30~40kmで約3時間半の旅。1895年開通と歴史は古く、ディーゼルタイプの列車はエアコンもトイレもありません。牧草地、溶岩地帯、サボテン、ピスタチオ畑と変わる車窓の向こうに、雪を頂くエトナ山が煙を吹き出しています。

エトナ山周遊鉄道
エトナ山周遊鉄道
車窓から望むエトナ山
車窓から望むエトナ山
カターニア 灰から美しく再生した文化の街
円形闘技場遺跡

多数の民族による支配と噴火による破壊・再建を繰り返したカターニアには、多くの遺跡が残っています。その1つ、浴場施設跡は地下通路がドゥオーモまでつながっているそう。街中に忽然と現れるのは、ローマ時代2世紀中頃の円形闘技場。約1万5000人を収容できる大規模なものでした。全体に黒い石材が用い られていますが、これはエトナ山の溶岩です。

円形闘技場遺跡
円形闘技場遺跡
ドゥオーモ広場

街のシンボル、象の噴水がある広場。噴水は1735年製ですが、溶岩でできた象はローマ時代のもので、リォトルと呼ばれています。象の視線の先にあるのが、守護聖女アガタを祀るドゥオーモ。1090年、ローマ時代の浴場跡に建てられ、数度の被災を経て、18世紀にバロック様式で再建されました。ローマ総督に屈しなかったアガタは今も市民に愛され、2月の聖アガタ祭は数日に渡って盛り上がります。

ドゥオーモ(大聖堂)
ドゥオーモ(大聖堂)
象の噴水
象の噴水
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ像

オペラ作曲家ベッリーニを生んだ、文化都市でもあるカターニア。彼の名を冠した数々の施設も街の誇りです。ベッリーニ像の4面に飾られた像は、4つの代表作「ノルマ」「清教徒」「海賊」「夢遊病の娘」を表しており、1890年に誕生した劇場のこけら落としは、もちろん「ノルマ」が上演されました。南国の木々が美しい公園は彼の音楽のごとく人々の心を潤し、高台からはエトナ山を望むことができます。

ヴィンチェンツォ・ベッリーニ像
ヴィンチェンツォ・ベッリーニ像
ベッリーニ劇場
ベッリーニ劇場
ベッリーニ公園
ベッリーニ公園
パレルモ アラブと欧州の文化が融合したシチリアの州都
カテドラーレ

パレルモの歴代王を祀るシチリアン・ノルマン様式の大聖堂。キリスト教会からモスクへ、また教会へと何度も増改築されたため、多くの建築様式が混ざっています。後陣は創建時のノルマン様式、南側の三連柱廊の入口はカタルニア・ゴシック様式。また、柱廊のアーチの上部にはオリエント風の装飾が。南側ファサードの前には、ペストの流行を終息させたという聖女ロザリアの像が立っています。

カテドラーレ
カテドラーレ
カテドラーレ内部
カテドラーレ内部
柱廊のオリエント風装飾
柱廊のオリエント風装飾
クアットロ・カンティ

マクエダ通りとヴィットリオ・エマヌエーレ大通りが交わる「四つ辻」という意味。十字路の4つの建物は角が八角形に切り取られ、シチリアン・バロックの彫刻で装飾されています。1階は四季を表す4つの泉、2階にはスペイン総督、3階にはパレルモの守護聖女たち。豪華な舞台セットに迷い込んだような空間で、別名「テアトロ・デル・ソーレ(太陽の劇場)」とも呼ばれています。

クアットロ・カンティ
クアットロ・カンティ
プレトーリア広場

クアットロ・カンティにほど近い、パレルモの中心地。「法務官広場」という意味で、市庁舎が面しています。ルネッサンス様式の巨大な噴水は、トスカーナの彫刻家フランチェスコ・カミリアーニの作品。30もの彫像が置かれた優美なものですが、敬虔なカトリック教徒のシチリア人にはヌード彫刻の評判が悪く、「恥の噴水」とも言われているとか。

プレトーリア広場
プレトーリア広場
艶めかしい彫像
艶めかしい彫像
ベッリーニ広場

教会に囲まれたベッリーニ広場。まず、バロック式ファサードのマルトラーナ教会は、ノルマン時代のもの。内部はビザンティン様式のモザイク画が、黄金の輝きを放っています。隣のサン・カタルド教会も同時代ですが、赤い3つのクーポラが印象的なアラブ風。まったくスタイルの違う建築が隣り合う景観は、イスラムとキリスト教文化が融合したパレルモならではといえるでしょう。

サン・カタルド教会
サン・カタルド教会
マッシモ劇場

映画『ゴッドファーザー3』のラストシーンが撮影された、イタリア屈指の巨大劇場。入口の大階段に見覚えがある人も多いでしょう。「最大」という名の通り面積は7,730平方メートル、1875年から22年もかけて建設されました。5層ものボックス席を備えた総客席数3200は、ミラノのスカラ座をも凌ぎます。公演のない日はガイドツアーがあり、壮大かつ優美な名門劇場を5ユーロで見学できます。

マッシモ劇場
マッシモ劇場
『ゴッドファーザー3』で有名な大階段
『ゴッドファーザー3』で有名な大階段