雄大な自然が広がる南半球の大陸を縦断。

オーストラリアの大地を行く

2012年最初の旅は、真夏の太陽が降り注ぐオーストラリア。シドニーから広大な大地を切り開いていった入植者の足跡をたどり、南東部の大都市メルボルン、アデレードを訪ねます。さらに、2004年に全線開通した大陸縦断鉄道で、夕日が美しいダーウィンへと荒野を北上。先住民族の文化や大自然に触れながら、豪華列車で3000kmを駆け抜けます。

入植と発展の歴史を辿って シドニー〜ブルーマウンテンズ〜メルボルン〜アデレード

入植と発展の歴史を辿って シドニー〜ブルーマウンテンズ〜メルボルン〜アデレード

シドニー 入植の歴史を刻むオーストラリア最初の街
ロックス

シドニーはオーストラリア発祥の地。1788年、英国海兵隊と流刑の囚人たちが入植しました。当時の住宅や港の倉庫、船乗りの下宿など、開拓時代の街並が残るロックスは観光名所。入植記念碑であるファーストインプレッション、囚人たちがノミとハンマーで手掘りしたアーガイルカットというトンネル、1844〜1990年まで労働者階級の一家が住んでいた歴史ある建物、スザンナプレイスが見どころです。

ファーストインプレッション
ファーストインプレッション
アーガイルカット
アーガイルカット
スザンナプレイス博物館
スザンナプレイス博物館
メトロモノレールとメトロライトレール

シドニーの市街地を巡るなら、モノレールとライトレール(路面電車)におまかせ。市内中心部を約15分で周回しているモノレールは、眺めも良く、大まかな土地勘をつかむことができます。モノレールより広範囲を網羅しているライトレールは、一部区間が24時間運行という便利さ。チャイナタウンやダーリング・ハーバーなど、観光ポイントを効率よく行き来できます。

メトロモノレール
メトロモノレール
メトロライトレール(路面電車)
メトロライトレール(路面電車)
ビルズ

「世界一おいしい朝食」で世界的に知られるビル・グレンジャーの店。シドニーに3店舗あり、ハリウッドスターも足繁く通うとか。名物のスクランブルエッグは、クリーミーでとろけるような口当たり。ふわふわのリコッタ・ホットケーキは、ハチミツを練り込んだバターがよく合います。高級レストランのような外観と、意外にもアットホームな店内は居心地が良く、満ち足りた時間を過ごせます。

ビルズ
ビルズ
名物のホットケーキとスクランブルエッグ
名物のホットケーキとスクランブルエッグ
ハリーズ・カフェ・デ・ホイールズ

イギリス文化の色濃いオーストラリアでは、ミートパイが国民食。中でもハリーズの「タイガー」は、創業時からの人気メニューです。他の店と違うのは、青豆とポテトのマッシュをのせて、グレービーソースを添えていること。あのカーネル・サンダースは、3つもたいらげたそうです。お腹がすいたら気軽にテイクアウトして、街歩きのお伴にどうぞ。

自慢のミートパイ
自慢のミートパイ
ロードネルソン・ブリュワリー・ホテル

ホテル特製のおいしい地ビールが飲める、シドニーで一番古いパブ。品評会で賞も獲得している有名店です。エールタイプを中心に6種類あるビールは、100%ナチュラル原料、砂糖や防腐剤は不使用。チョコレートの香りがする個性派の黒ビールも、試してみる価値アリです。石造りのクラシックな雰囲気も素晴らしく、フードメニューも充実しているので、食事目的のお客さんも多いそう。

フロードネルソン・ブリュワリー・ホテル
ロードネルソン・ブリュワリー・ホテル
石造りの落ち着いた店内
石造りの落ち着いた店内
地ビールとフィッシュ・アンド・チップス
地ビールとフィッシュ・アンド・チップス
ブルーマウンテンズ 世界遺産に登録された青く煙る山岳地帯
シティレイル

シドニーと郊外を結ぶるローカル線、シティレイル。市中心部はシティサークルと呼ばれる環状運転で地下を、郊外への路線は地上を走ります。景勝地ブルーマウンテンズへは、西方のリスゴーへ伸びるブルーマウンテンズラインで約2時間。2階建てのダブルデッカー車両が、小旅行気分を盛り上げてくれます。

ブルーマウンテンズライン
ブルーマウンテンズライン
スリーシスターズ

グレーター・ブルーマウンテンズ地域は、2000年に世界自然遺産に登録。90種類ものユーカリが生い茂り、光合成で発生するガスが青く霞んで見えるため、この名前がつきました。一帯は標高1300m級の山が連なり、大峡谷の絶景をロープウェイやブッシュウォークで満喫できます。3つの巨岩「スリーシスターズ」は、アボリジニの美人三姉妹が、魔法で岩に変えられた姿だと言い伝えられています。

スリーシスターズ
スリーシスターズ
シーニックレイルウェイ

切り立った断崖、しぶきを上げる滝、谷底を覆うユーカリの原生林と、起伏に富んだ壮大な景観のブルーマウンテンズ。その峡谷の急勾配を降りるシーニックレイルウェイは、かつて石炭を運んだトロッコ列車でした。標高差207m、最大斜度52度。インディー・ジョーンズのテーマ曲で出発すると、スピードもテンションも急上昇。垂直降下のようなスリルで、足を踏ん張らないと座っていられないほどです。

シーニックレイルウェイ
シーニックレイルウェイ
アトラクションのような急勾配
アトラクションのような急勾配
ジグザグ鉄道

ブルーマウンテンズの斜面を、スイッチバック方式でジグザグに走る登山鉄道。1860年代に敷設され、トンネルの開通で一度は廃線になりましたが、スイッチバック部分のみ観光用に復活しました。年代物の列車が山肌をへばりつくように走り、周りには民家も飲食店も皆無。途中駅では方向転換のため、機関車の付け替え作業を行います。雄大な景色と古き良き鉄道の魅力を、心ゆくまで体感しましょう。

ジグザグ鉄道
ジグザグ鉄道
山肌に走る線路
山肌に走る線路
車内
車内
メルボルンXPT

XPT(Express Passenger Train)は、シドニーと国内主要都市を結ぶ長距離列車。イギリスのインターシティ125をベースに、オーストラリア仕様に設計された列車です。シドニーのセントラル駅からメルボルンまでは、約12時間。夜行列車には寝台車もあり、シャワーや朝食のサービスも。軽食や飲み物はビュッフェカーで調達でき、ゴミは数時間おきに車掌さんが回収しに来てくれます。

メルボルンXPT
メルボルンXPT
メルボルン 歴史ある街並みにトラムが走る国内第2の都市
キャプテン・クックの家

ジェームズ・クックはイギリスの海軍士官で探検家。18世紀に3回の大航海を行い、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイなどの島々に、ヨーロッパ人として初めて到達しました。この家は、イギリスのヨークシャーにあった彼の実家を、1934年にメルボルン市100周年を記念して移築したもの。生活用品から18世紀イギリスの暮らしがしのばれる他、航海に関する資料が展示されています。

キャプテン・クックの家
キャプテン・クックの家
キャプテン・クック像
キャプテン・クック像
フリンダースストリート駅

1854年に開業したオーストラリア初の鉄道駅。ロンドンのセントポール寺院を模したという、ドーム屋根とアーチ構造が歴史を感じさせます。1日に25万人が利用する大ターミナル駅で、東端にあるドームから写真右奥に見える時計塔まで、実に200mはあろうかというほど長大。この塔は映画『魔女の宅急便』に登場する時計塔のモデルともいわれています。

フリンダースストリート駅
フリンダースストリート駅
ユーレカ・スカイデッキ88

2007年にオープンした超高層住宅。88階に南半球で最も高い展望台があり、南十字星をモチーフにした外観も印象的です。しかし何より特筆すべきは、ビルの頂上付近に設置された「ザ・エッジ」というアトラクション。全面ガラス張りの小部屋は最初は不透明。しかし入室すると徐々に外へせり出して、いきなり透明に変化!360度、文字通り宙に浮いた空間からメルボルンを一望できます。

ユーレカ・スカイデッキ88
ユーレカ・スカイデッキ88
ザ・エッジ
ザ・エッジ
足元の眺め
足元の眺め
トラム

1885年の敷設以来、トラムは街のシンボル。他市ではバスや電車に代わる中、道路が広く計画的に造られたメルボルンでは路線が増え続けてきました。市民の足である他、観光客に嬉しい無料循環トラム「シティサークル」や、食事が楽しめる「コロニアル・トラムカー・レストラン」も運行。これらはクラシックな木造車両を使っていて雰囲気も抜群です。レストランは地元民にも人気なので、予約はお早めに。

シティサークル
シティサークル
トラムカー・レストランのメニュー
トラムカー・レストランのメニュー
ブロック・アーケード

ゴールドラッシュで富を築き、街の建設からわずか30年でシドニーを抜いて経済の中心地となり、最初の首都になったメルボルン。当時の輝きを象徴するショッピングアーケードは、1891年に建てられました。上品で洗練された造形は、ミラノのビットリア・ガレリアを手本としたとか。建物の美しさから「コリンズストリートの宝石」と呼ばれ、ナショナルトラストの歴史保存建築物に指定されています。

ブロック・アーケード
ブロック・アーケード
アデレード 自由移民が建設した南オーストラリアの州都
ジ・オーバーランド

メルボルンからアデレードは、高速鉄道で約11時間の旅。列車の名前は、開拓時代に馬で大陸を旅した冒険者たち、オーバーランダーズにちなんだものです。州都間を乗り換えなしで結ぶ初の列車として、1887年に運行を開始しました。座席は2クラスあり、より快適な旅にするなら2+1配列シートのレッドプレミアム車両がおすすめ。枕、毛布、水とオレンジジュースの無料サービスもあります。

ジ・オーバーランド
ジ・オーバーランド
ゆったりしたレッドプレミアム車両
ゆったりしたレッドプレミアム車両
アデレードヒルズ

ジ・オーバーランドがアデレードに近づくと、車窓にはブドウ畑が広がっていきます。ドイツ人が入植したアデレードヒルズはワインの産地。ワイナリーを巡ってテイスティングを楽しみましょう。オーストラリアで10指に入るというハンドルフヒル・ワイナリーは、チョコレートとのマッチングがグルメたちに大好評。高級レストランのような試飲ルームは眺望もすばらしく、優雅なひとときが味わえます。

ワイナリーとブドウ畑
ワイナリーとブドウ畑
チョコレートとワインの試飲
チョコレートとワインの試飲
「Railway Story オーストラリアの大地を行く」写真提供:オーストラリア政府観光局
シドニー ブルーマウンテンズ メルボルン アデレード