攻殻機動隊 S.A.C./東のエデン 神山健治監督 スペシャルインタビュー

電脳社会の犯罪と正義を描いた「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」三部作から最新作「東のエデン」へ。WOWOWでの一挙放送を前に神山健治監督に改めて作品の魅力と狙いについて聞いた。

TVアニメとしての「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」について

士郎正宗氏原作、さらに押井守監督による映画版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」がある中で、TVアニメとして「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(以下「攻殻機動隊 S.A.C.」)を制作するにあたって、どういうふうに差別化をしようと考えましたか?

神山: 「攻殻機動隊」は原作がまず素晴らしいし、映画も海外で高く評価されている作品です。でもTVアニメの企画が立ち上がった当時は、まだ一般のお客さんに届いているタイトルではなかった。なので目標は「“攻殻機動隊”というタイトルをお茶の間に届けること」。原作や映画のよさを受け継ぎつつ、「刑事物」の側面を強調して、誰もが見やすいストーリー作りを心がけました。またTVシリーズということで話数にも余裕があるので、公安9課の各キャラクターに焦点をあてたエピソードを作り、キャラクターに親しみを感じてもらおうと考えました。 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

「刑事物」として1話完結性を意識した一方で、「STAND ALONE COMPLEX」では「笑い男事件」、「2nd GIG」では「個別の11人事件」といった大きな謎の事件が提示されます。

神山: そうです。1話完結の中に、大きなストーリーの細部を散りばめて、シリーズ全体で一つのうねりになるように意識して作りました。そのあたり海外ドラマのように作っているので、一挙に見るときにはそういう細部の部分のリンクなども楽しんでいただければと思っています。

その「笑い男事件」と「個別の11人事件」ですが、前者は「ネットを使った正体不明の愉快犯」、後者は「招慰難民の国内への流入とテロ」という非常に現実味のある事件を取り扱っています。こういう事件を作品の核として取り上げたのは何故でしょう?

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 神山: アニメってすべてが「絵」で描かれている作り事の世界です。そこにさらに絵空事のドラマを重ねても、視聴者は「自分に関係ない絵空事」と受け取ってしまう。それはいやだったので、視聴者に「自分たちに関係のある世界だ」と思ってほしくて、現実と接点のある題材を取り上げたのが最初の理由です。ニュースを見ると「なにか裏があるのかな」とか「どうしてこうなったのだろう」と考えますよね。ある事件にはかならず人間がかかわっているわけで、人は人間が起こすことに興味があるわけです。そういう興味を通じて作品に興味を持ってもらえればと思っています。
神山健治監督 神山健治監督プロフィール

1966年、埼玉県生まれ。背景スタジオ「スタジオ風雅」を経てフリー。'94年ごろからゲームのムービーパートなどの演出を手がけ、「人狼 JIN-ROH」('00年)の演出を経て、「ミニパト」('02年)で初監督。その後、TV「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」('02〜'06年)、「東のエデン」('09)を監督。そのほかの代表作に「精霊の守り人」('07)、実写「真・女立喰師列伝/Dandelion 学食のマブ」('07)、などがある。

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